川崎競馬所は開催の最終日。気温37度、炎天下の川崎1レースを勝ったのはミユキジョオウサマ。パイロ産駒の牝馬3歳で1番人気に応える快勝だった。
鞍上の神尾香澄騎手は、この勝利で今年の勝ち星を2桁に載せた。川崎競馬歴代3人目の女性ジョッキーはデビュー4年目。昨年は盛岡で重賞制覇も果たした。なでしこジャパンに憧れて小学生の頃からサッカーに打ち込み、静岡県女子選抜のFWで活躍した経験も持つ。世が世ならパリ五輪で活躍していたかもしれない。しかし小柄な体格を生かせる競技を求めて競馬界に飛び込んだ才女は、男性を相手に真剣勝負の日々を過ごしている。
藤田菜七子騎手は明日夜に英アスコットで行われる騎手招待競走「シャーガーカップ」に選ばれているし、今月末に札幌で行われるWAJには仏国で700勝を達成したデルフィンヌ・サンチアゴ騎手が初来日を予定している。「性別も年齢も関係なく、頂点を目指せるスポーツ」はボートレースで使われるコピーだが、競馬も負けてない。
32競技329種目が実施されるパリ五輪もいよいよ終盤。今大会ではよくも悪くも「男女」の性差が話題になった感がある。背景には出場選手の男女比率を50%ずつにするIOCの大方針もあった。男女がチームやペアを組んで争う混合種目も前回の東京大会から2種目増えて20種目に。しかし、それらのほとんどは団体やダブルスを混合にしたものだから、厳密な意味での「混合」ではない。厳密な意味で男女分け隔てのない競技を目指すのなら、男女がガチンコで勝負するのがスジであろう。だが、今のところ馬術以外では難しそうだ。
そう思ってたら、今大会から水泳のアーティスティックスイミングのチーム種目で8人のチームメンバーのうち男性が2選手まで参加できるようになっていたらしい。「らしい」と書いたのは実際に出場した男子選手がゼロだったから。そもそも本気で男女混合を目指すなら混合種目を追加するか、いっそのことチーム戦を「男女4人ずつ」というルールにしてしまえよいのだが、それをやっても多くの参加は見込めまい。
ともあれ選手同士のコンタクトがない競技は混合化が進んでいる。バレーボールも男女3人ずつの種目が新設されるかもしれない。ゴルフも混合にして男女が替わりばんこに打てば良いんじゃないの?
なんて、もはやテレビのバラエティ番組の感覚に近いが、混合化傾向がますます顕著になる現状を鑑みれば、まったくないとも言い切れない怖さがある。4年後のロス五輪が怖い。
さて、男女混合競技の先達である馬術では、金メダルの内訳は男性選手が7個に対し女性選手は5個だった。しかし総合馬術個人では上位5人を女性選手が占めている。男女の違いを認識しながら、それを受け入れて男女がガチンコの勝負をするところに、この競技の醍醐味があるのであろう。
***** 2024/8/9 *****