ふたりのレジェンド

エスコンフィールドで吹雪にさらされた昨日から一転、今宵は「高校野球女子選抜 vs イチロー選抜 KOBE CHIBEN」を観んがため東京ドームにやって来ている。

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女子高校野球選抜強化プログラムの一環として始まったイチローさんとの真剣勝負も今年ではや3年目。ハイライトは早くもやって来た。試合前のイチローさんの打撃練習。先月50歳を迎えたばかりとは思えない打球を連発するその姿を、多くの観客は食い入るように見入った。レジェンドはいくつになってもレジェンドであることに変わりはない。

そんな野球界のレジェンドと競馬界のレジェンド・武豊騎手は、1996年にラジオ番組での共演を機に親交を深めるようになった。武騎手が夏の小倉で騎乗する時に福岡ドームまで足を運んだり、巨人との日本シリーズを観戦するため、栗東から神戸まで足を運んだこともある。イチローさんはイチローさんで、有馬記念で武騎手の騎乗馬の馬券を買うこともあったらしい。武豊騎手は常に人気を背負うので「せっかく当たっても配当が安い」と周囲を笑わせていた。

武騎手はイチローの現役最終戦となった2019年3月のアスレチックス vs マリナーズ戦を生観戦している。自身のオフィシャルサイトには「あの場にいられたこと、それ自体がボクの一生の宝物になりました」とその心境を綴っている。昨年8月にはJRA通算4368勝目をマーク。イチローさんの日米通算安打数4367を抜いた。

今日の試合でイチローさんは投手として9回116球を投げ切り完封勝利。打っては4打数2安打。途中、足が痙攣するアクシデントがありながら、それでも最後まで決して手を抜かないその姿に、東京ドームに詰めかけた観衆も最後まで喝采を送り続けた。この日のために相当な準備をしてきたこともファンはよく知っている。決して安くはないお金を払って大勢のお客さんがやって来るのは、50歳を迎えてなお本気で野球に取り組むレジェンドの姿がそこにあるからだ。

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一方で、54歳の武騎手は未だ天皇賞当日の負傷が癒え切らない。エリザベス女王杯での復帰予定がマイルチャンピオンシップに延び、さらにジャパンカップへと延びたかと思ったら、そのジャパンCでの騎乗を断念すると昨日発表があった。現時点では実戦復帰は早くても12月9日とされている。

「想像以上に治るスピードが遅い」

オフィシャルサイトでそう説明した武騎手は、今日のイチローさんのプレーぶりをご覧になっただろうか。武豊不在のジャパンカップは画竜点睛を欠く。ありったけの敬意と、そしてわずかばかりの不安を抱きつつ、ファンとしてはレジェンドの回復を静かに待つしかない。

 

 

***** 2023/11/21 *****