8年ぶりのホースショー

連休中の話になる。

東京五輪に伴うリニューアルを経て8年ぶりの開催となった馬事公苑のビッグイベント「ホースショー」は、障害馬術競技会としては国内トップクラスの人馬が集まる日本馬術連盟公認の競技会。それに相応しいハイレベルの熱戦が8年ぶりに馬事公苑に帰ってきた。その見どころは馬術競技だけではない。体験乗馬や馬車試乗会など馬に親しむための馬事アトラクションが盛りだくさん。まさに日本最大級の馬事文化イベントと言っても過言ではあるまい。

苑内を南北に貫くメインストリート沿いには、これでもかとばかりにキッチンカーが並ぶ。中には珍しい伊勢うどんの専門店も。

紀伊路(きいろ)」は三重県出身のご主人が営むキッチンカー。伊勢市内で製麺されたうどんは三重県産の小麦を100%使用し、名水と名高い大台ケ原から湧き出るミネラルたっぷりの水で打たれているという。独特の甘いタレも三重の醤油蔵に依頼したもので、ダシには熊野灘で水揚げされたカツオや鯖節を使っているという徹底ぶりだ。まさかここでここまで本格的な伊勢うどんに出会えるとは思わなかった。正直、本場伊勢で食べた一杯よりも美味い。

 

サンシャインパドックに人だかりができていた。

隣同士で放牧されているのはヴェローチェオロ(左)とクリプトグラム(右)の2頭。放牧中の馬はたいてい地面の雑草に夢中で、なかなか顔を上げてくれないものだが、この2頭はお互い顔を上げて向き合ったり、たまにお客さんの方をジッと見つめて写真を撮らせたりとファン対応がちゃんとできている。プロですね。

2021年 三田特別 ヴェローチェオロ M・デムーロ

肝心の競技に話を移そう。とはいっても、私の興味はサラブレッド限定競技に向いている。今大会にエントリーしてきた元競走馬は12頭。中でも注目は福島章選手とのコンビで出場したエミネンス。現役時代はシャドウエミネンスの名前でJRA2勝の成績を誇る。父アグネスタキオン、母エミネントピークスの16歳牡馬。エミーズスマイル、エミーズパラダイス、ホウオウエミーズ、そしてクラウンプラウドを擁する社台ファーム有数の牝系だが、注目の理由はそれだけではない。2018年の全日本障害馬術大会では優勝するほどの実力の持ち主である。ちなみに、そのときの2位は当時まだ馬術競技者だった小牧加矢太選手だった。

エミネンス

もう一頭の注目はこちらのボトルガーデン。2014年にG1レーシングの募集にかかったが、残念ながらデビューは果たせなかった。それでも千葉の某乗馬施設でリトレーニングを受けて競技馬となり、こうして元気に頑張っている例があることを知ってもらいたい。

ボトルガーデン

ハービンジャー、母シュファーヴァイン。こちらも社台ファームの生産馬で2代母はビハインドザマスクということは今週末のヴィクトリアマイルで人気を集めるであろうマスクトディーヴァの従姉弟ということになる。ボトルガーデンはホースショー初日に行われたTAKANOME杯(120cmクラス)で優勝を果たした。マスクトディーヴァも負けてはいられまい。

 

***** 2024/5/10 *****