競馬場のネコ

競馬場までネコを見に出かけた。

京都4レースに出走のニャンチンノンを見よう、というオチではない。出かけたのはもちろん東京競馬場。こちらで誘導馬や乗馬として活躍してきたネコパンチ(父ニューイングランド)が、今月末を以て退厩することが発表された。ファンへの最後のお披露目として、東京競馬場の展示パドックに放牧されるというのである。

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猫と言えば大井競馬場である。なにせゴール板前の超最前列で観戦するのは、大物馬主ではなく、決勝審判員でもベテランカメラマンでもない。それはなんと猫なのだから。

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バルダッサーレが勝った2016年の東京ダービーでも猫が主役を奪うシーンがあった。スタンドの声援を浴びながらのウイニングラン。しかし先にファンの前に現れたのは、なんと1匹の猫である。凱旋する人馬を横目にしながら悠然と馬場を横切る猫に、ファンの目は釘付けになった。「かわいいっ!」と叫ぶ女性客。天下のダービー馬でさえも脇役に追いやる猫の力は侮れない。

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しかし、ウイニングランの最中ならまだしも、レース中に急に猫が走路に飛び出してきたらたへんだ。2013年の雲取賞ではゴールに向かう馬群の前に猫が飛び出してきたことがある。この時はことなきを得たが、たとえ事故に繋がらなくとも競走にわずかでも影響が出たら一大事。だから警備のオジサンたちは猫を見つけると、けっこうムキになって追い払おうとする。

でも、猫の方は「我関せず」という風に悠々とゴール板の下でくつろいるのだから警備の方も切なかろう。仕方ない。そもそも猫というのはそういうものだ。

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東京競馬場の乗馬苑に放牧されたネコパンチも「我関せず」という風情で青草を齧っていた。ファンの間では12番人気で逃げ切った2012年の日経賞が語り草だが、私はその前年の2月27日の中山9レース、潮来特別のレースぶりが脳裏に焼き付いている。

Punch

この日に行われた東京マラソンでタレントの猫ひろしさんが2時間37分という快走劇を演じたばかり。それにあやかって単勝を買ったら珍しく当たった。惜しむらくは2番人気だったこと。翌年の日経賞の当日でも猫ひろしさんがマラソンを走っていれば、私も単勝万馬券を当てることができたかもしれない。

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隣の馬房ではシロニイがジッとネコパンチの様子をうかがっていた。「先週は自分が注目を集めたのになんでアイツが?」とでも言いたげな目をしているのがかわいらしい。ネコパンチも17歳。今後は北海道で余生を過ごすという。長生きしてほしいですね。お疲れ様でしたと声をかけたい。

 

 

***** 2023/11/25 *****