京王杯は変われるか

京王杯2歳Sは回を重ねて今年が59回目。JRAで行われる2歳重賞としては、朝日杯FS、阪神JFに次ぐ3番目に深い歴史を誇るGⅡなのに、同じ秋の東京に東京スポーツ杯2歳SやアルテミスS、さらにサウジアラビアRCに比べて影が薄い。京王杯を勝って2歳チャンピオンにまで昇り詰めたのは2010年のグランプリボスが最後。クラシックを勝った例となると1998年のウメノファイバーまで遡らなくてはならない。

その原因は芝1400mという距離にあろう。かつてはデビューから徐々に距離を伸ばして使っていくスタイルが主流だったからこれで良かった。しかし2歳番組が整備され、デビューからクラシックと同じ距離だけのレースを選択することも珍しくない時代。1400mの京王杯が、将来もスプリント路線での活躍を目指す短距離馬の舞台となるのは当然の成り行きであろう。今年の出走馬12頭のうち、前走で1200mを使われた馬は半数を超える7頭。これでは今年の勝ち馬からクラシックホース誕生を期待するのも無理な話か。このままではGⅡの格付け維持も危うい。

そんなことを考えながらレースを待っていたら、南半球から大きなニュースが飛び込んできた。なんと豪州ローズヒルガーデンズ競馬場に遠征していたオオバンブルマイが、ゴールデンイーグルという高額賞金レースを勝ったという。1着賞金はなんと525万豪ドル(約5億円)だというから半端ない。日本ダービーより高いではないか。

オオバンブルマイは昨年の京王杯2歳Sの優勝馬である。ゴールデンイーグルは未格付けレースだからレーティングがどうなるのか分からんが、賞金からして決して弱い相手だったとは思えぬ。京王杯2歳Sにネガティブな印象を抱いていた私の考えを変えさせるには十分。「京王杯2歳Sは昨年から変わった」と言われれば、今なら信じてしまうかもしれない。

今年の京成杯は中団を追走した1番人気のコラソンビートが直線に向くと弾けるように伸び、先に抜け出したオーキッドロマンスをゴール寸前できっちりと差し切りながらも、外から迫るロジリオンの追撃を振り切った。ひとこと快勝である。

11r_20231104185801

牝馬ながら同距離のファンタジーSではなく、牡馬相手でも地元のレースを選んだ陣営の判断を讃えたい。牝馬がこのレースを勝ったのは先述したウメノファイバー以来のこと。だとしたらコラソンビートにクラシック制覇の期待をかけてみるのも悪くあるまい。デビュー以来左回りばかり使われて(3,0,1,0)のコラソンビートの成績はオークスを意識させるのに十分。父スワーヴリチャードの血が、それを後押しするように思えてならない。

ちなみにコラソンビートの祖母マイネヒメルの半妹には、3年前のオークスで2着に敗れたウインマリリンがいる。コラソンビートはオークスを勝って大叔母のリベンジを果たしたい。しかしその前に、その大叔母が日本時間明日早朝のBCフィリー&メアターフに挑戦する。コラソンビートの京王杯は牝系に勢いを付ける勝利になったはず。早起きして応援しよう。

 

 

***** 2023/11/4 *****