結論は1年後

船橋競馬場が今日よりフルオープンするというので様子を見にやってきた。

念のために断っておくが「グランドオープン」ではない。あくまでもスタンド部分の「フルオープン」。その看板が工事用外壁に据え付けてあることからも分かるように、場内ではいたるところで工事が進行している。

これまで西側(A棟)のみで暫定運用していたスタンドの建設工事がようやく終わり、A棟・B棟を合わせた本来の運用が可能になったに過ぎない。それでも、それに伴ってコース脇の立ち見エリアも4コーナー側にいくぶん拡充されたから、前開催までに比べれば、だいぶ広くなったように感じる。

 

 

このスタンドの右半分が今回新たにオープンしたエリアだと思って良い。そう考えれば前開催までの異常な狭さも納得であろう。それでもファンの立ち見エリアはゴール手前100m付近までに広がっただけ。これは他の競馬場に比べて極めて短い。

新スタンドからの視界の先には照明塔が威容を誇っている。

新スタンド部分(B棟)の屋外シートはベンチ式。子供連れなどでは使い勝手がよさそうだ。

一方、屋内の一般シートはサイドテーブル付きの独立席。かなりゆったりしている印象を受ける。

それもそのはず、A・B両棟を合わせた座席数は1791でしかない。スタンド収容人数は改修前の約1万人から6000人程度に減らされている。競馬場側は「ゆったりと快適に楽しめる設計にした」と説明しているが、スタンド内の混雑ぶりは改修前の比ではない。いくら入場人員が頭打ちとはいえ、スタンドの長さを半分にして座席も減らせば密度が増すのは当然だ。

入場者数のわりに「ゆったり」感に乏しい理由は、以前は広場だったスタンド東側(入場門から入って左側)の広大なスペースを潰して、新たに装鞍所や出張馬房、馬の積みおろしスペースを作ったことにある。現時点ではまだ未供用だが、ここの運用が始まれば現在の装鞍所、出張馬房、馬運車駐車設備等が広がる競馬場西側のエリアを観客用エリアに転用できる。「ゆったり」が実感できるようになるまで、来場者はもうしばらく辛抱しなければならない。

ちなみに我慢を強いられるのは馬主も同じだ。パドックの馬主席はいまだ工事中。代わりにと案内されたエリアは工事現場を歩いた先にある関係者用の通路だった。ひっきりなしに人が通って落ち着かない上、肝心の馬も遠い。

現在は馬運車駐車場に使っている「ららぽーと」側に入場ゲートが完成すれば、来場者の利便性は各段にアップする。それらすべてが実現するのは来年の春とのこと。そのときはすべての問題が解決するだけでなく、「街との共生」をテーマに掲げた一大プロジェクトの行方も明らかになる。「競馬場のパーク化」とはいったいどのようなものなのか。結論が出るのは1年後だ。

 

***** 2024/4/29 *****