青葉賞の呪い

青葉賞は重賞に格上げされて今年が31回目。過去には2頭の年度代表馬がここで重賞初勝利を挙げている。

2002年 青葉賞 シンボリクリスエス 武豊

ダービーと同じスタート地点から発走するトライアルとして注目されるべき一戦。だがしかし、過去の青葉賞馬はダービーで(0,6,2,20)といまだ勝てないでいある。青葉賞が指定オープンだった時代も、レオダーバンの2着が精一杯。青葉賞馬はダービーを勝てない―――。いつの頃からか、そんなことがダービーのジンクスとして語られるようになった。

青葉賞勝ち馬は、なぜダービーを勝てないのか?

こういう疑問を「単なるジンクス」として放置せず、なんとか合理的に解明しようと試みるのが、日本の正しい競馬ファンの姿である。ローテーションに目を付けた人は、中3週で東京の2400mを2度走ることの負担を口にするし、レースの格を重んじる人は、皐月賞青葉賞とではレースの激しさが違うのだから皐月賞組優位は当然だろうとクールに言ってのけたりする。

それでも30回以上もやっていれば、一度くらいはダービー優勝馬が出てもおかしくないように思えてならない。なのに、シンボリクリスエスゼンノロブロイフェノーメノといった逸材を以てしても壁を越えることはできなかった。

ダービーでの2着6回という数字には恐怖さえ覚える。ジンクスというより、もはや呪いではないか。アプレザンレーヴ(父シンボリクリスエス)、10年ペルーサ(父ゼンノロブロイ)、14年ショウナンラグーン(父シンボリクリスエス)。その呪いは、あろうことか親から子へと受け継がれてなお青葉賞馬たちを苦しめているのだ。

だがしかし、我々はフサイチコンコルドウオッカの、まるで奇跡としか思えないダービー制覇を目撃するたびに、「ジンクスは破られるためにある」の格言を思い知らされてきた。「競馬に絶対はない」。これこそもっとも競馬で使い古された格言。呪いやジンクスよりは格言を信じよう。そもそも1回でも勝ってしまえば呪いもジンクスも消え失せるはずだ。

2024年 青葉賞 シュガークン 武豊

今年の覇者シュガークンは1番人気で青葉賞を勝ったという点でダービーに期待が持てる。着差も勝ち時計も正直物足りないが、ダービー当日が大雨になる可能性だってゼロではあるまい。なによりこの血統とこの鞍上ならジンクスを吹き飛ばしてくれるのではあるまいか。そういう意味では、今日の青葉賞をナマ観戦した人は歴史の目撃者となるかもしれない。ダービーを楽しみに待とう。

 

***** 2024/4/27 *****