東京はここへきてようやく本気の冬に突入。あまりの寒さに、思わず江戸川橋のうどん屋さんに飛び込んだ。
それがこちらの「はつとみ」。宮崎の釜揚げうどんを都内で味わえる貴重な店として、うどん好きの間では知らぬ者はいない―――かどうかは知らないが、近隣のオフィスで働く方々の間から人気を集めていることは間違いなさそうだ。13時を過ぎているというのにテーブルは満席。わずかにカウンターに空席が残されているだけだった。
注文はもちろん釜揚げうどん。むろん大盛り。
桶の中のうどんは真っ白でツヤツヤ。中太の麺には独特のねじれが入り、ところどころ微妙に太さにバラつきがある。手打ちならではであろう。しかしいちばんの特徴はそのフワフワの食感。「これぞ宮崎!」と膝を打ちたくなる。
かつて宮崎競馬場があった宮崎県は、多くのホースマンを輩出してきた。なかでも宮崎県出身の調教師は名伯楽が多い。
池江泰郎、音無秀孝、小原伊佐美、坂口正則、二分久男、野元昭、橋口弘次郎、布施正、安田伊佐夫、矢野照正、山内研二、吉永忍。
宮崎県出身の調教師を五十音順にざっと並べてみたが、その全員がGⅠトレーナーであることに驚かされる。宮崎県には馬を強くする秘伝のレシピの言い伝えでもあるのだろうか。あるいはこのフワフワの釜揚げうどんを食べることで、馬を見る目が養われるのかもしれない。ならば私も食べなければ。
麺の柔らかさもさることながら、このダシ汁の美味さはどう表現すればよいのか。つけ汁だから当然味は濃い目。だが、しょっぱさよりも、カツオやシイタケのダシと思われる旨味が上回ってくどさを感じさせない。さらにたっぷりの刻みネギと生姜がうどんの甘さを際立たせる。これは美味い。宮崎の底力を思い知らされた。こうなったら、今週末の阪神カップは音無厩舎のピクシーナイトの復活勝利に期待しよう。
***** 2023/11/18 *****