消えた冬時間

JRAのメインレース発送時刻は、GⅠなど一部開催日を除いて、関西が15時35分、関東が15時45分で概ね固定化されている。それが11月になると東西の順番が逆になる。これは日の入り時刻が早まることへの対応。東の方が日没が早いせいだ。この運用は年明け2週目のフェアリーSあたりまで続くので、この2か月間余りのタイムテーブルを「冬時間」と呼んだりもする。

今日の阪神メインのチャレンジCに私が追いかけ続けるエヒトが出走してきた。ジャパンCを敢えて回避しての出走が果たして吉と出るのか。現地での観戦は叶わぬが、テレビ中継くらいはちゃんと観ておきたい。それで15時45分に合わせてテレビをつけた。すると、あろうことか阪神メインはすでに終わっており、中山メイン・ステイヤーズSのスタートが映し出されたではないか。

慌てて確認すると、たしかに阪神11レースの発走時刻は15時35分とある。中山11レースは15時45分だから冬時間が適用されていない。そんなバカな話があるか。暮れの競馬は中山→阪神の順に発走するもの。長年それでやってきたではないか。だから年の最後の最後に行われる大トリが阪神のファイナルSになるのである。

かつて日本中央競馬会の競馬施行規程は、競走の実施を「日の出から日没まで」と規程していた。今日の中山最終レースの発走時刻は16時20分。船橋市の日没は16時27分。発走前にアクシデントでもあれば7分程度のゆとりはすぐに吹き飛ぶ。しかし、この「日没規程」は数年前に廃止されたはずだから、今回の冬時間の消滅の直接の理由ではあるまい。

答えはJRAのリリースに書かれていた。

令和5年度秋季競馬番組の概要について gai03.pdf (jra.go.jp) より抜粋

第5回中山競馬の発走時刻について
中山競馬では、冬期間における最終競走発走時の馬場の照度を確保するため馬場照明設備を増設しており、これに伴い第5回中山競馬の発走時刻は、一部のGI競走実施日を除き、当日の競馬場で最も遅い設定となるように従来の発走時刻から繰り下げております

なるほどね。つまり日没規程が廃止されたことに加え、中山のインフラ整備も進んで薄暮でのレース施行に支障がなくなったので、わざわざ冬時間を適用する必要がなくなったというわけ。なお、これに合わせる格好でファイナルSも中山に移行されるらしい。大トリを関東に奪われたと憤る関西のファンの方も、案外いらっしゃるのではあるまいか。

Tokyo_20231202175501

ともあれ「冬時間」は11月の東京開催期間中だけの風物詩になってしまったようだ。11月では「冬時間」と呼ぶのも憚られる。だからと言って「秋時間」では何のことだか分からない。そのうちレース順を入れ替える運用自体もなくなってしまうのだろう。競馬のキャリアが深ければ深いほど、レースの順番やメインの時間というのは深く広く身体に染み付いているもの。こういう些細な変化が億劫に感じる歳に、そろそろ私もなってきた。

 

 

***** 2023/11/2 *****