連覇

明日行われるエンプレス杯は節目の70回目。しかし第58回が雪のため中止となっているので、実質的には69回目ということになる。1995年からJRAとの交流重賞となったが、その最初の6年間はホクトベガシルクフェニックスファストフレンドの3頭がそれぞれ連覇を果たしている。

1998年 エンプレス杯 シルクフェニックス 福永祐一

写真は1998年に連覇を果たしたシルクフェニックス。前年の覇者であるにも関わらず5番人気に留まったのは、前走の大敗に加え、牡馬相手の日経新春杯を勝っていたメジロランバダらが相手だったからだろうか。だが、そんな低評価をあざ笑うかのような完勝劇に、福永祐一騎手(現調教師)も渾身のガッツポーズを繰り出した。

思えば、このレースの第1目の覇者ミスアサヒロからして翌年の第2回目を勝っているのだし、ヒカリカツオーヒが第38-39回、アム-ブリエが第61-62回で連覇を達成していことを思えば、エンプレス杯の歴史は連覇の歴史と言えなくもない。今年も昨年の覇者グランブリッジが連覇を狙って東上してきた。人気の中心はデビュー以来無敗のオーサムリザルトだが、明日夜の予報は雨。得意の雨馬場になれば連覇の可能性は高まる。

一方、エンプレス杯の翌年に創設された京王杯スプリングカップは今年が正真正銘の69回目。こちらにも昨年の覇者レッドモンレーヴが連覇を目指して出走してくる。

GⅠ馬3頭が顔を揃えた昨年に比べれば今年のメンバーは比較的軽そうだ。なら連覇の可能性は高いかと言われればそうでもない。なにせ、エンプレス杯と同じ回数を誇る京王杯の歴史の中で、連覇を達成しているのは2000-01年のスティンガーただ一頭。01年といえば馬齢表記が国際基準に合わせて満年齢に変更となった年だから、スティンガーは京王杯スプリングカップを「5歳」で二度勝っていることになる。

2000年 京王杯SC スティンガー 武豊

2000年には前年の優勝場グラスワンダーが除外の瀬戸際に立たされた。この年に限ってフルゲート頭数が削られたわけではない。仮にそうだとしても前年の同レース覇者で、年末に有馬記念連覇を果たした当時の現役最強馬を除外することがおかしい。ともあれフルゲート18頭に対し、外国馬のディクタットと地方馬タマルファイターが出走を表明。残る16頭分の枠もいわゆる除外による優先出走権保有馬で埋まってしまったのである。

除外による優先出走のルールが現在とは違っていたことが引き起こした珍事。幸いなことに、優先出走権を持つ馬が回避したことで、グラスワンダーはめでたく出走にこぎつけたが、あろうことか9着に敗れ連覇は逃した。前年の優勝馬を除外させるようなルールに、嫌気がさしてしまったのかもしれない。有馬記念を軽々と連覇する能力を以てしても、京王杯の連覇はかくも難しいのである。

 

***** 2024/5/7 *****