メトロポリタンSを見逃すな

今日の東京はプリンシパルSをメインに特別3鞍がすべてオープンクラスという珍しい番組編成。準メインという立場に甘んじたとはいえ、注目度ではメトロポリタンSも負けていない。メツルマルボーイタップダンスシチーナカヤマフェスタラブリーデイなど、ここでの勝利をステップにGⅠのタイトルを手にした名馬も少なくない。古馬オープンの東京芝2400mとなれば、たとえ重賞でなくてもそれなりに重みがある。たとえ馬券は外れても、後々のためにレース内容は頭に刻んでおかねばなるまい。

今年は8頭立て。少頭数の割に盛り上がったのはゴールデンウィークの影響もあるかもしれないが、やはりメロディーレーンの効果であろう。天皇賞・春を除外になって、やむなくここを使うのだろうが、2400mでもこの馬にとってはいかにも短い。24000mなら買えなくもないが、そもそも牝馬に厳しいレースでもある。

過去にメトロポリタンSを勝った牝馬は2頭のみ。底力の問われる東京の2400mでオープンのオトコ馬相手に牝馬が勝つのは容易ではない。ただ、1996年のプレイリークイーンは、そんな常識に囚われない馬だったイメージがある。

1996年 メトロポリタンS プレイリークイーン 河内洋

デビューは3歳7月。未勝利戦では勝ち上がれず、待望の初勝利は4歳2月の小倉まで待つことになる。7番人気だった。1勝クラスにに出走してきた未勝利馬なのだから低評価も無理はない。その後、古都Sを6番人気で勝ち、中山牝馬Sは11番人気で勝ってみせた。逆に1番人気を集めた愛知杯は13着。2番人気の六甲Sで12着。要するにアテにならないのである。

ちなみに彼女のメトロポリタンSは5番人気での勝利だった。2着テンジンショウグン、3着シグナスヒーロー。翌年の日経賞で重賞における馬連最高配当(21万3370円)を叩き出す2頭を従えての優勝である。そのイメージを大事にしていれば、あの歴史的大波乱の馬券もどうにかなったかもしれない。そういう意味でも、やはりメトロポリタンSは後々に響いてくるのである。負けた馬の競馬ぶりも頭に刻んでおかねばなるまい。

2024年 メトロポリタンS バトルボーン J・モレイラ

さて、今年のメトロポリタンSは圧倒的1番人気に推されたモレイラ騎手鞍上のバトルボーンが後続に2馬身差をつけて完勝した。好スタートからのまさかの逃げ切り。人気が示す通り、ここでは力が違った。しかし5歳5月にしてこれがようやくのオープン初勝利である。重賞級の力の持ち主であることは間違いないが、二度の骨折と鼻出血が出世を阻んできた。陣営にしてみれば大事なのはこのあとであろう。ドゥレッツァ、リバティアイランドの骨折のニュースに続いて、テーオーロイヤルまで骨折の報が飛び込んできた。バトルボーンの強さを脳裏に刻みながらも、その一方で無事是名馬の金言を噛み締めよう。

 

***** 2024/5/4 *****