前代未聞/ぜんだいみもん
今までに一度も見聞きしたことがないほど珍奇であること
(イミダス)
今日の川崎競馬場4レースで「前代未聞」の出来事があったらしい。なんだなんだとニュースを読んでみれば、カンパイの合図が騎手に伝わらず、全馬競走除外扱いでレースが不成立になったという。カンパイに気づかなかった及川烈騎手に必死に追われて1位入線を果たしたトコトコトッコトコには気の毒と言うほかはない。もしこれが成立レースなら、キャリア12戦目にして嬉しい初勝利のはずだった。
カンパイの合図に気づかず全馬がゴールまで全力で走ってしまい、疲労が著しいことから全馬を競走除外の上でレース不成立―――。これと同じケースは2020年4月2日の笠松5レースで起きている。
2020年4月2日笠松5R出馬表|地方競馬情報サイト (keiba.go.jp)
さらに南関東では2010年12月8日の船橋4レースでも起きている。この日はクイーン賞の当日ということもあり、筆者も競馬場でレースを観ていた。
2010年12月8日船橋4R出馬表|地方競馬情報サイト (keiba.go.jp)
C2クラス(六組・七組)による1200m戦に12頭が揃っていた。スタートが向こう正面のポケット地点なので、スタンドからはカンパイとなった状況をつぶさに見ることはできなかったが、1番枠にいた本橋考太騎手によれば、3番枠のスパーナルフィリーが自分でゲートを開けたのが見えたという。
それで「あー、こりゃ入れ直しだな」と思った途端にゲートが開いて全馬飛び出した。さらに「なんだよ、カンパイじゃん」と思ったのに、誰も馬を止めるそぶりを見せないので「焦った」とのこと。
通常、ゲートから前方200mの地点に白旗係員がいて、スタート後にスターターが赤旗を振るのが見えたら即座に白旗を振って騎手たちに発走のやり直しを伝えることになっている。だが、このときは「スタート直後に赤旗は振られなかったので、レースは成立したものと思って引き揚げた」らしい。実際、赤旗は出たのだが、これが遅かった。結果、全馬が競走を続行する形になってしまったのである。
今日の川崎4レースでも実況アナウンサーが伝える限りでは赤旗が振られたことは間違いなさそうだ。ただ、そのタイミングや白旗係が旗を振ったかどうかは映像からでは判断できない。馬群が200m地点を通過する際、白旗係が馬場の外側に退避していたことは確認できた。
カンパイ自体はさほど珍しいものではなく、毎年のように起きている。それが騎手に伝わらず、全馬競走除外になった例も過去に無かったわけではない。10年に一度の出来事とはいえ、それを「前代未聞」と表現するのは無理があろう。ちょっと調べればわかること。「競争」の誤用とあわせて指摘しておきたい。
***** 2024/5/8 *****