天ぷらうどんで天ぷらうどんを

先週のエスコンフィールドを皮切りにベルーナ、ZOZOマリン、京セラと続いたパシフィックリーグ本拠地の旅は、ついにみずほPayPayドームへとたどり着いた。ただ、今日はここで試合は行われない。スタジアムツアーに参加しただけ。ただ、もう試合はじゅうぶんですよ。実は先週の土日も東京ドームだったので、昨日までの6日間で5試合を観たことになる。

PayPayドーム付近で一風変わったうどん屋を見つけた。



横書きの看板には「天ぷらうどん」とある。これが屋号なのかどうか、あるいは「天ぷらうどん」専門店なのかどうか。外観だけでは情報が少なすぎる。だが、外から見る限り店内のカウンターには結構客が入っているようだ。入らぬ手はあるまい。

ごぼう天うどんを注文。680円という価格の割にごぼう天がたくさん入っていて驚いた。なるほど屋号はダテでない。優しい旨味のダシも秀逸。こんなレベルの高いお店が、「天ぷらうどん」という看板ひとつでシレっと営業しているところに、福岡の奥深さを感じる。

夜は呼子イカで一杯。透き通ったその身はほどよく甘く、コリコリとした歯応えは痛快そのもの。美味い。

イカの味わい方は2種類に分かれる。寿司ネタに使うような場合は、もう少し寝かせてイカの甘味を最大限に引き出すのだろうけど、活き造りは歯応えを楽しむもの。せっかく遠出してきたのだから、ここでしか味わえない歯応えを味わいたい。

ところが、周りの連中が何かを気にし始めた。何かと訊けば、「なんでワサビじゃなくてショウガが添えられているんだ?」という。

なるほど、生イカの味わい方には「甘味派」と「歯応え派」のみならず、「ワサビ派」と「ショウガ派」もあった。これだけ派閥が乱立するのも、それだけ日本人の食卓に馴染み深い食材であることの裏返しでもあろう。

私は日本全国でイカを食べ歩いているわけではないのだが、函館で食べるイカ刺しにはショウガが添えられていることが多いような気がする。だけど、馴染みの札幌の寿司屋で食べるイカ刺しには、いわゆる山ワサビが添えられたいたはず。そういえば、むかし北海道の岩内で大根おろしと一緒に食べたこともあったか。とにかく、北海道ではイカ刺しにワサビという組み合わせはあまり見かけない。

一方で、東京近辺ではワサビが多い。ワサビ醤油よりもショウガ醤油の方が素材の甘味を際立たせる特徴がある。歯応えは良いが甘味にやや欠ける新鮮なイカを食べるならショウガ。逆に鮮度は劣るが熟成が進んで甘味が引き出されたイカを食べるならワサビ。北海道や福岡でワサビが使われないのはそのためではないか   というのが私の仮説。果たして真偽はイカに?

  

***** 2024/6/28 *****