13時間をつぶせ

シカゴからは日本への直行便が飛んでくれていてありがたいのだが、そのフライト時間は13時間にも及ぶ。旅慣れた人なら苦でもないのだろうが、残念ながら私はそうでもない。何をして過ごそうか。眠れるものなら眠ってしまいたいが、あいにく午前のフライトである。さっき起きたばかり。せっかく解消しつつある時差ボケが、新たな時差ボケで上書きされることは必至だ。

とにかく眠くなるまで機内プログラムに頼るしかない。ならば渡米時に視聴した「VIVANT」をもう一度最初から全話視るというのはどうだ。一度視たことで飽きていれば眠くなるかもしれないし、二度目でも面白いならそれはそれで悪くない。それでいざ視始めたら―――結局10話最後まで視てしまった。

このドラマの面白さを今さら語るような真似は恥ずかしくてできないが、私としてはウマがたくさん登場するのが嬉しい。出演者の乗馬の腕も達者だ。阿部寛さんはNHK「坂の上の雲」で日本騎兵の父と呼ばれる秋山好古役を演じたほどだし、二階堂ふみさんもフジテレビの「乗馬Labo」という番組に出演されていた。ウマに縁のある皆さんだと思えば、ドラマを視る目も変わってこよう。なみにドラムさんも、「VIVANT」のあとではあるが、TBSで「ドラム馬JOB大冒険」という番組に出演されてた。

成田までの時間はまだたっぷり残っている。「VIVANT」最終シーンの余韻が覚めやらぬ中、映画「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」の再生を開始した。すると正義感に燃える医師・柚木薫がとんでもない姿で登場しているではないか。

「VIVANT」では、柚木薫に関する様々な謎が解明されぬまま最終回を迎えてしまったわけだが、その正体は埼玉解放戦線を率いる壇ノ浦百美だったのか? だとしたら、続編では別班と戦うことになるのか??

なんてワケはなくて、たまたま二階堂ふみさんが両作品に出ていただけなんだけど、まあここまでキャラクターが違うと同一人物が演じているとは思えぬ。そこは俳優の面目躍如であろう。

そうこうするうちに二度目の食事が運ばれてきた。成田は近い。オレンジ風味のから揚げが添えられた炒麺を食べつつ考えた。シカゴのオヘア空港を飛び立ったのが現地時間で金曜の午前11時。それから13時間のフライト中に出て来た機内食は2回。私はそれを金曜の昼メシと夕飯だと思って食べた。しかし成田に着いたらそこは土曜の午後15時である。

土曜の朝食と昼メシはいったいどこへ行った?

時差ボケの頭で考えてもよくわからんが、メシ抜きは我がポリシーに反する。成田に着いたらただちにメシ屋のハシゴだ。

 

***** 2024/3/16 *****