パリ五輪日記⑧ パリのフレーズを探せ

今日の新潟は6レースが柳都Sでメインの7レースが新潟日報賞。準オープン特別が立て続けて行われた。どちらもフルゲート。しかも実力伯仲の興味深いメンバー構成。いずれの勝ち馬も、勝ちっぷりからも、血統背景からも今後の飛躍は間違いない。重賞が一本勝ちだとするなら、技ありふたつの合わせ技一本といったところであろう。

それにしても夏の新潟も変わったものだ。かつて夏のローカルに準オープンのレースはあまり組まれていなかったように思う。アテネ五輪が行われた2004年8月一か月間を振り返ると、新潟での準オープンは8月15日の朱鷺Sしか行われていない。勝ったのはメジロマントルである。ちなみに、この夜にアテネで行われた競泳男子100m平泳ぎを北島康介選手が優勝。「チョー気持ちいい」というフレーズはこの夜に生まれた。

ともあれ、20年前にはたった一鞍だった準オープンが、今年は柳都S、新潟日報賞に加え、稲妻S、上越S、日本海S、長岡S、古町Sと7鞍も用意されている。筆者が「変わった」と考えるのも不自然ではなかろう。

1998年 日本海S ダイワテキサス 蛯名正義

夏場はオープン馬や高額条件馬は休むもの―――。かつてはそれが普通だった。それでも走りたい準オープン馬はオープンのレースに出るしかない。しかし、それで勝ってしまう馬もいるから夏競馬は厄介だ。来週は関屋記念が行われるが、1993年の優勝馬マイスタージンガーも95年のフェスティブキングも条件馬に過ぎなかった。

それでも新潟日報賞は夏の新潟を代表するレースとしてファンの耳にも馴染んでいる。オープンになったり2勝クラスになったり、距離も1000mから2200mまで条件はコロコロ変わってきたが、実は1965年の新潟競馬場創設当時から行われる歴史ある特別戦。なんとこけら落としの翌日のメイン競走を務めた。その優勝馬マイナールツクが名伯楽・尾形藤吉調教師の管理馬だったと聞けば感慨もひとしお。それから59年目の新潟日報賞を勝ったシンティレーションを管理する池上昌和調教師は尾形一門のひとりだ。

惜しかったのは2着に敗れたトロヴァトーレ。準オープンで行われた新潟日報賞を3歳馬が勝った例は、メジロカンムリが勝った1992年を最後に途絶えている。もしトロヴァトーレが勝てば32年ぶりの出来事だった。ちなみにこの夏に行われたバルセロナ五輪では若干14歳の岩崎京子選手が競泳女子平泳ぎ200mで金メダルを獲得している。レース後に発した「今まで生きて来た中でいちばん幸せ」は瞬く間に流行語となった。

今回のパリ五輪を象徴するフレーズは何だろうか。期待の競泳陣からのコメントが話題にならないのは不振の裏返し。スケボーの実況アナが発したフレーズは今ひとつ伸びを欠いている。ネットを騒がせている「誤審」や「疑惑の判定」ではつまらない。私の中では「初老ジャパン」が先頭。ぼちぼちパリ五輪も折り返しだ。

 

***** 2024/8/3 *****