ちょっと昔の青梅特別

今日の東京10レースで行われた青梅特別は、かなり古くから2勝クラスのダート戦として東京競馬場で行われてきたが、現在のように3歳と古馬が対戦するようになったのは2012年から。その年、いきなり3歳馬が古馬を蹴散らしてワンツー決着を果たした。勝ったのはホッコータルマエ。2着エアハリファ。前者は説明の必要もない。のちにGⅠを10勝する伝説のダートチャンピオン。後者ものちに根岸Sを勝つダートの猛者だ。

2012年 青梅特別 ホッコータルマエ 幸英明

降級制度があった当時は、3勝クラスから降級してきた4歳馬が圧倒的に有利。このレースでも前走3勝クラスで3着と好走したアドマイヤサガスと、前走で2勝クラスを勝って同条件のコパノカーンの4歳勢が人気を集めると思われた。が、蓋を開けてみればホッコータルマエが1番人気に押されて、しかも勝ってしまうのだから、ファンの見る目はいつの時代も鋭い。

実は、ホッコータルマエエアハリファも望んで青梅特別に出走してきたわけではなかった。同じ日のメインで行われるユニコーンSを揃って除外されて、やむなく同じダート1600mの青梅特別に参戦したに過ぎない。のちの活躍ぶりを思えば、この2頭を除外にするなんてJRAもなかなか思い切ったことする。直後に行われたユニコーンSは、同じ2勝馬ホッコータルマエエアハリファを抽選で破ったストローハットが勝った。

その後ストローハットとホッコータルマエは揃ってジャパンダートダービーに出走したが、ホッコータルマエがストローハットに2馬身半ほど先着を果たしている。賞金3歳同士のGⅢと降級古馬相手の2勝クラスは果たしてどちらが上なのか。当時、ずいぶん考えたものである。ちなみに1着賞金は前者が3400万に対して、後者は1400万だった。

あれから12年。4歳馬の降級制度はなくなり、ユニコーンSも4月の京都へと移ってしまったが、今年の青梅特別も3歳馬がワンツーフィニッシュを決めた。勝ったグラウンドビートはこれで3連勝。昨年までなら一躍ジャパンダートダービーの有力候補だが、改革元年の今年からはそうもいかない。ジャパンダートダービーはジャパンダートクラシックと名前を変えて10月に行われる。しかも、ダート3冠路線が整備された今年は、ほかの多くの有力馬が早い段階から収得賞金を積み上げてきた。このままでは3冠目の出走は覚束ない。

暑さが苦手だというグラウンドビートはこのあと山元で夏休みに入るらしい。しかしジャパンダートクラシックへの出走を確実にするなら8月のレパードSか9月の盛岡・不来方賞を勝つ必要がある。3歳ダート3冠路線が整備されたということは、それだけ競争も厳しくなったということ。馬にとっては短い夏休みになってしまうかもしれない。
 

***** 2024/6/8 *****