3歳馬初の戴冠へ

秋の古馬ダート戦線の幕開けを告げる日本テレビ盃は、ウシュバテソーロとデルマソトガケの人気馬2頭を尻目に3番人気ウィリアムバローズがまんまと逃げ切った。一騎討ちの構図では得てしてこういうことが起きる。

船橋では明日も重賞が行われるらしい。恥ずかしながら知らなかった。聞けばマリーンカップだという。これまで4月に行われてきた古馬牝馬の重賞だが、3歳馬も出走が可能なため、3歳馬と古馬とが対決し得る最初の重賞だったはず。3歳馬には基本重量で4キロのアドバンテージが与えられるが、それでもマリーンカップを3歳馬が勝った例はない。

そのレースが秋に移動してきたということか。となれば3歳馬にもチャンスはあろう。そう思って出馬表を見れば、まさかの6頭立て。しかも出走全頭が3歳馬ときた。アーデルアストレア、ライオットガール、スピーディキックといった古馬ちたはいったいどうしたのか。

歴戦の古馬たちが斤量差を嫌って逃げたとも思えぬ。いったい何があったのかと、改めて出馬表を隅々まで見直してみたら、なんと「3歳限定」となっていた。つまり古馬は出たくても出られない。よくよく考えれば来週には大井でレディスプレリュードが行われる。アーデルアストレアもライオットガールもスピーディキックも、そちらに向かうようだ。

初めてマリーンカップに挑んだ3歳牝馬は2003年のホワイトカーニバルだった。桜花賞で11着に敗れてから中1週での参戦である。エーデルワイスS2着の実績を買われての挑戦だったのだろうが、さすがに古馬の壁は厚く地元ラヴァリーフリッグから4秒近く離された9着に敗れている。

2003年 マリーンC ラヴァリーフリッグ 石崎隆之

しかしホワイトカーニバルは母となってダートの女王サンビスタを送り出した。多くのファンにはチャンピオンズカップの印象が強いだろうが、2015年にはマリーンカップで58キロを背負いながら後続を4馬身千切る圧勝劇を演じ、母のリベンジを果たしている。

2015年 マリーンC サンビスタ 岩田康誠

そう思いながら今回のメンバーを見渡すとアンデスビエントが気になって仕方ない。アンデスビエントの母アンデスクイーンはエンプレス杯レディスプレリュードを勝ったダートの強豪だが、船橋ではクイーン賞に2度挑戦していずれも敗れている。とくに2019年は1番人気に推されながら5着完敗だった。同じ船橋1800mで娘のアンデスビエントが雪辱するシーンを見てみたい。

ともあれ、マリーンカップが3歳限定となったからには、重賞昇格28回目にして初めて3歳馬の勝利が確定したということである。重賞初勝利をもたらしてくれたアンデスビエントと久々のコンビを組む田口貫太騎手にとっては、フランス武者修行の成果を披露する絶好の舞台だ。少頭数競馬も慣れたものであろう。

 

***** 2024/9/25 *****