5億のインパクト

昨日のジャパンカップを勝って1着賞金5億円を獲得したイクイノックスの総獲得賞金が22億円を突破。アーモンドアイを抜いて史上1位になったことがニュースで話題になっている。

Eqinox

レースの賞金額が増え続けている現状では獲得賞金記録が更新されることにいちいち驚く必要はない。アーモンドアイが勝った当時のJCの1着賞金は3億円。テイエムオペラオーは2億5千万円。シンボリルドルフの当時は8千万円に満たなかった。

それを分かっていても総獲得賞金の話題を取り上げるのは、もはやイクイノックスの強さを表現する適当な尺度が見つからないからであろう。「GⅠレース6連勝」も、「JCではディープインパクトに並ぶ単勝配当130円」も、イクイノックスの強さの前では陳腐にさえ聞こえる。敢えて探せば「騎手も調教師もその強さに泣くほどの強さ」か。ならばウイニングランの写真を見る方が早い。なんでも言葉で表現できると思ったら大間違いだ。

獲得賞金を過去の名馬と比較することはナンセンスだが、同一年の獲得賞金を競うことは意味のないことではない。例えば種牡馬ランキング。イクイノックスの父キタサンブラックは先週までランキング7位だったのが、ハーツクライとモーリスを抜き去り一気に5位にまで浮上した。1着賞金5億円の衝撃は大き凄い。

その破壊力は2着以下においても威力を発揮した。初めてJCに挑んだドゥラメンテ産駒は、リバティアイランド、スターズオンアース、タイトルホルダーがいずれも掲示板を確保。その3頭が稼いだ入着賞金3億8千万は、ダービーの1着賞金をゆうに超える。先週終了時点時点で種牡馬ランキング2位のドゥラメンテは、3億6千万あまりの差でトップのロードカナロアを追っていたのだが、ジャパンカップの2着、3着、5着賞金を加算してついに首位に立った。

ドゥラメンテ産駒はタイトルホルダーに代表される現5歳世代がファーストクロップ。4世代だけでのリーディングを争う不利をはねのけてチャンピオン種牡馬になれるかどうか。できることなら取らせてあげたい。なにせ来年の2歳が早くもラストクロップ。すでに他界したドゥラメンテにチャンスはそう残されていない。

Dora

こうなると注目を集めるのはJCと同じ「5億円レース」の有馬記念であろう。ドゥラメンテ産駒からはタイトルホルダーの出走が濃厚。一方、パンサラッサが引退を表明したロードカナロア産駒からはホウオウエミーズが出走するようだ。

この状況だけ見ればドゥラメンテが有利にも思えるが、タイトルホルダーが有馬記念で勝つことはもちろん、掲示板に載るという保証だっていっさいないのである。リーディング争いは一筋縄ではいかないもの。なにせ現時点の差はわずか700万でしかない。重賞だけではなく、特別戦や平場戦の勝ち負けが勝敗を分ける展開になれば、12月28日の競馬が俄然熱くなる。注目しよう。

 

 

***** 2023/11/27 *****