中山ではイクイノックス、パンサラッサ、タイトルホルダーと引退式が続く。さらにテーオーケインズ、ソングライン、シュネルマイスター、ジェンティルドンナ、ウインマリリン、グレナディアガーズ、サークルオブライフ、そしてソダシも既に引退、あるいは引退を表明した。今年の年の瀬は例年にも増して世代交代の波を感じる。
そんなさなか「オニャンコポンもいなくなるらしい」と聞かされた。オニャンコポンと言えば、昨年の京成杯を勝ったエイシンフラッシュの牡馬。今年3月の六甲S後に骨折してから長く休んでいたけど、ついに復帰は諦めたのか。その特徴的なネーミングからファンの多い馬だったなぁ―――と遠い目をしていたら、競走馬で小島茂厩舎所属のオニャンコポンではなく、お笑いコンビで吉本興業所属のオニャンコポンの方だった。そりゃそうだよね。よくよく聞けば「引退」ではなく「解散」である。
今年は競走馬だけでなく、お笑いコンビの解散・活動休止も目立った。私が知っているものだけでも、コウテイ、オドるキネマ、ジュリエッタ、コマンダンテ、なにわスワンキーズ、竹内ズ、ハチカイ、スタンダップコーギー、ゾフィー、スーパーニュウニュウ、ANZEN漫才、和牛、オニャンコポンと十指に余る。私が知らぬコンビまで含めたらキリがない。過去に例がないほど長く続くお笑いブームにも、我々の目の届かないところでは地殻変動が起きている可能性がある。
「コンビ解散」を競馬に置き換えれば「乗り替り」がそれに近い。有馬記念に出走するディープボンドの騎手が、和田竜二からトム・マーカンドに変更されることが発表されるや一部でネットがザワついた。折りしも今年のJRAカレンダーのテーマは「共に掴んだ。心に刻まれた名コンビたち」だったりする。その12月の頁に使われているのはキタサンブラックと武豊騎手だ。
昨年の有馬記念を勝ったイクノイックスは引退までC.ルメール騎手が手綱を撮り続けた、一昨年の有馬記念の覇者エフフォーリアも横山武史騎手以外で競馬をしたことはない。3年前の優勝馬クロジェネシスも有馬記念を勝ったその時点までは北村友一騎手が手綱を取り続けていた。
昨今の騎手事情を勘案すれば、同じ騎手とのコンビで古馬GⅠに出走してくること自体が珍しい。それなのに、こと有馬記念に限ればデビュー以来ずっと手綱を取り続ける騎手とのコンビが好成績を残しているのである。この四半世紀だけでもご覧の通り。しかもここ5年は4例と突出している。
2022年 イクイノックス/C.ルメール
2021年 エフフォーリア/横山武史
2020年 クロノジェネシス/北村友一
2018年 ブラストワンピース/池添謙一
2016年 サトノダイヤモンド/C.ルメール
2011年 オルフェーヴル/池添謙一
2008年 ダイワスカーレット/安藤勝己
2006年 ディープインパクト/武豊
2000年 テイエムオペラオー/和田竜二
1999年 グラスワンダー/的場均
1998年 グラスワンダー/的場均
過去の名馬と騎手のコンビを紐解いてみても、同じ馬と騎手のコンビの方がファンの心に刻まれるのは間違いない。ハイセイコーには増沢末男、ミスターシービーには吉永正人、シンボリルドルフには岡部幸雄、ディープインパクトには武豊、そしてイクイノックスにはクリストフ・ルメール。騎手の固定化は名馬大成の条件のひとつ。だが今年の有馬記念出走予定馬にデビューから続くコンビはない。とはいえ武豊騎手とドウデュースの乗り替わりにはやむを得ない事情があったことも事実。天皇賞とジャパンカップを例外にすれば、有馬記念好走のトレンドに合致する。
***** 2023/12/20 *****