ゲソ天いろいろ

東京競馬場内「馬そば深大寺」には、名物の鳥そばに負けぬ人気メニューがある。フジテレビで先日放映された「東京ゲソ天ブルース ~素晴らしき立ち食いそばの世界~」でも紹介されたから、ご存知の方も多いかもしれない。

馬そば深大寺

それがこちらのゲソ天そば。人気の秘密はもちろんこの大ぶりのゲソ天。ゲソ一本を丸々揚げたゲソ天が2本ドンと入っている。鰹節ベースの黒っぽい関東風のツユに浸されたゲソ天は躊躇なく美味い。

しかし、たまに硬いゲソ天に当たると難儀する。足の付け根部分はまだ柔らかいのだが、先に向かうに従って硬くなり、いつまでも噛み続けることにもなりかねない。競馬場の食事は時間をかけられぬこともしばしば。ならば鳥そばにしとておこうか……。そんな選択をしてしまったことも、過去になくはない。

一方で、市川の人気店立ち食いそば「鈴屋」のように、

食べやすい大きさに刻まれたゲソをかき揚げにして丼の上に載せてくれる店も多い。ツユは宗田節と鯖節のブレンドで、見た目は濃いようにも感じるが、優しくててしっかりとした味がある。

鈴屋

新橋駅構内(改札外)に店舗を構える「かのや」のゲソ天も捨てがたい。こちらのゲソも食べやすいサイズに刻んであり、衣はサクッと軽やか。いわゆる駅そば屋さんではあるものの、注文の声を聴いているとそばとうどんの割合はほぼ拮抗しているようだ。そばを注文すれば黒っぽい鰹ダシ、うどんなら透き通ったいりこダシのツユで提供してくれるからありがたい。個人的には、かき揚げタイプのゲソ天には透き通ったうどんツユが合うように思う。

生そば讃岐うどん かのや

かき揚げタイプのゲソ天は食べやすいだけでなく、ツユの味がよく馴染むというメリットもある。しかし、かき揚げばかりを食べていると、ふと「馬そば深大寺」の一本ゲソが恋しくなるから不思議だ。たかが立ち食いそばのゲソ天でありながら、実はその奥は案外深い。ともあれ東京競馬場には「長く良い脚」が似合うということであろう。

 

***** 2024/4/30 *****