梅雨入りと夏至入り

東京は雨の一日。昼前に梅雨入りの発表があった。統計開始以降では史上2番目に遅いという。

それに加えて「今日は夏至」というフレーズをあちこちで聞いた。が、正確には「今日は夏至日」もしくは「今日から夏至」が正しい。二十四節季で言えば今日から小暑の前日、すなわち7月6日までが夏至。今日は梅雨入りであると同時に「夏至入り」でもある。

夏至は一年の中でも重要な季節点。世界各国で農耕儀礼や宗教上の祭日となっている。特に陽の光を浴びる時間が少ない北欧では、太陽の恵みを祝う祭典が各地で行われ、その盛り上がりはクリスマスをも凌ぐそうだ。

だが、日本では冬至には南瓜を食べてゆず湯に浸かるという風習があるのに、夏至にはこれといった行事がない。西瓜を食べて、夏みかん風呂に浸かるなんてのがあってもよさそうなものなのだが、これでは夏至の立つ瀬がない。

これは夏至の時季が梅雨と重なるため、日本人のイメージの中で夏至が梅雨の雨雲に覆われてしまっているためではあるまいか。日照時間が最も長いと言われたところで、どんより曇った梅雨空の下ではそれを実感することもできない。実際今日もそうだった。

そんな夏至を慰めるわけではあるまいが、JRAでは「夏至ステークス」というレースが行われていたはず。おそらく今週末の東京だろう。そう思って番組表を見てみたが、あれ?見当たらない。

それもそのはず。夏至Sは2週も前の6月9日東京10レースですでに行われていた。3勝クラスのダート1600m戦にフルゲート16頭が出走。11番人気サンテックスの逃げ切り勝ちで波乱決着となっている。

あさって日曜の東京10レースには甲州街道ステークスというレースが用意されている。3勝クラスのダート1600mという条件は2週前の夏至ステークスとまったく変わらない。なぜこちらを「夏至ステークス」として施行しないのだろうか。わざわざ2週も前倒す意図が分からない。JRAサイトの特別レース名解説では「二十四節気のひとつ」と紹介されていた。それに従うならば、あさっても夏至であることに変わりはない。問題はなかろう。

ちなみにライバルの冬至は「冬至ステークス」や「冬至特別」にその名を冠し、アンバーシャダイクシロキングサクラローレルを輩出するなどして、すでにその地位を確たるものとしている。

1994年 冬至S サクラローレル 小島太

夏至も負けてはいられないところだが、一昨年の優勝馬は9番人気、昨年が7番人気、そして今年が11番人気だから前途は多難だ。むしろ昨日の園田メイン夏至特別でダービー馬スマイルサルファー差し切ったナムラタタの方に期待したくもなる。ともあれ巷はようやくの梅雨入り。馬券も梅雨モードに切り替えよう。

 

***** 2024/6/21 *****