アナゴの季節

オークス当日の食事は場内で食べ歩くのをやめて自席でお弁当をいただいた。穴子寿司と鶏めしのセット。すなわち「穴取り」である。

むろんこんなことで穴馬券が取れれば苦労はない。アナゴに引っ掛けて京都の愛宕特別に手を出してみたが、よもやの1→2→3番人気の本命決着。腕ぶして臨んだオークスでも穴馬の出番はなし。それでも穴子寿司は美味しかったからヨシとしよう。もとよりアナゴが好物なのである。

各地から梅雨入りの便りが聞こえてくるこの季節、アナゴは旬を迎える。これがいわゆる「梅雨アナゴ」。一般に旬は脂の乗る季節を指すことが多いが、アナゴは淡白な味わいが持ち味なので、今の季節のものが好まれる。この季節のアッサリしたアナゴは天ぷらにすると特に美味い。

西新橋に「トンボ」という名のうどん屋さんを見つけた。オープンして3年目だというから、私が大阪に行ってる間に開業したことになる。トッピングに穴子天を注文すると、これから揚げるのでしばらく待ってくれとのこと。もちろん待つ。出てきた一杯は想像通りの美味しさ。中太でやや平打ちの麺も「おにやんま」に似て秀逸だなと感心していたら、店主はその「おにやんま」で修行してたという。なるほどね。だから「トンボ」か。都心の美味しいうどん屋さんには、トンボとかクワガタとか、なぜか昆虫にちなむネーミングが多い。

ともあれこれでダービーの穴馬券はバッチリであろう。できることなら5番枠には穴馬に入ってもらいたい。すなわち「穴5(アナゴ)」である。しかし過去に5番ゼッケンをつけてダービーを勝った馬といえば、コントレイル、オルフェーヴルディープインパクトスペシャルウィークといずれ劣らぬ名馬ばかり。2着もソールオリエンス、ハーツクライシルクジャスティスと、やはり人気馬が名を連ねている。

2011年 日本ダービー オルフェーヴル 池添謙一

ダービーで「穴5」の実現は期待薄かな、と諦めていたら、さきほど発表された確定枠順の5番枠にダノンデサイルが入った。皐月賞は無念の競走除外。勝負付けは済んでない。「同一馬主の二頭出しは人気薄を狙え」の格言もある。おあつらえ向きの穴5。これは買わねばなるまい。

2023年 立雲峡S アナゴサン 幸英明

そんなことを考えつつ、ダービーの裏に行われる京都・安土城Sの出馬表を見ていたらアナゴサンの名前があるではないか。3か月半ぶりの休み明けは梅雨アナゴの季節を狙いすましたローテかもしれぬ。穴を狙うならむしろこっちか。しかし京都ではアナゴよりハモの季節でもある。アナゴサンで「穴誤算」に泣く事態だけは避けたい。

 

***** 2024/5/23 *****