カギは桜にあり

昨日の中山記念は7番人気マテンロウスカイが直線で逃げるドーブネをかわすと、そのまま2馬身の差を付けて重賞初制覇を果たした。鞍上の横山典弘騎手は中山記念6勝目。先週56歳になったとは俄かに信じ難い。1月に更新したばかりのJRA最年長重賞勝利記録を再び更新してみせた。

筆者は2着に粘った10番人気ドーブネが本命。しかし肝心のマテンロウレオは痛恨のヌケだった。失態の誹りは免れまい。逃した馬連配当が173倍と聞けば悔しさもいや増す。

ちなみに皐月賞馬2頭は無印にしていた。これは褒められて良かろう。皐月賞馬の中山記念と言えば、古くはハイセイコーから近年ではヴィクトワールピサキャプテントゥーレのワンツーという例はあるにせよ、それをして両レースの関連性云々を言えるほどの確たる根拠はない。

そう信じるのは痛い経験があるからだ。1996年の中山記念で1番人気に推されたのは前年の皐月賞馬でダービー2着のジェニュイン。社台レースホースの服色も、4歳緒戦であることも今年のソールオリエンスとダブる。そのジェニュインを私は「負けるわけがない」と豪語して単勝にドカンとつぎ込んだ。贔屓の一頭だったせいもある。しかし結果は2着。シクシク泣きながら歩いた西船橋駅への道のりの長さは今も忘れぬ。この後しばらく中山から足が遠のいた。「苦い経験」というよりトラウマと言った方が近い。

ちなみに勝ったサクラローレルは9番人気の伏兵。その鞍上にいたのは誰あろう横山典弘騎手である。そこまで思いが至れば昨日のマテンロウスカイも買えていたかもしれぬ。なにせこれが彼にとっての中山記念初勝利だった。

1996年 中山記念 サクラローレル横山典弘

サクラローレルはこの年の天皇賞春と有馬記念を制覇。ほかにもサクラスピードオーサクラキャンドルの活躍で、オーナーのさくらコマースはこの年のオーナーランキング2位と躍進した。その「桃、白一本輪、桃袖」の勝負服を見かけなくなって久しいが、先日の東京新聞杯でサクラトゥジュールが久しぶりに重賞タイトルを獲得した。そのサクラトゥジュールが制した昨年のメイSの成績がこちら。

 2023年5月20日東京11R メイS
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 1 サクラトゥジュール D・レーン 1分44秒7
 2 マテンロウスカイ 横山典弘 クビ
 3 エピファニー C・ルメール 3馬身
 4 ドーブネ 吉田隼人 アタマ
 5 エリカヴィータ 北村宏司 1馬身

2023年 メイS サクラトゥジュール(左)とマテンロウスカイ(右)

このレースの9か月後にサクラトゥジュールが東京新聞杯を、エピファニー小倉大賞典を勝ったことを思えば、中山記念マテンロウスカイとドーブネは買っておくべきだった。戒めとせねばなるまい。こうなると5着だったエリカヴィータも追い掛け続ける必要がありそうだ。

 

***** 2024/2/26 *****