ラストチャンスへ

昨夜から降り続いた激しい雨のおかげで、札幌競馬場は芝ダートとも重馬場でのスタート。JR函館本線千歳線などが運転を見合わせるほどの雨に見舞われながら「重」に踏みとどまるあたり、札幌の水はけの良さはさすがだ。しかし芝コースは2つ分ほど時計がかかっており、ダートコースは逆に2つ分早くなっている。

今日の目玉は2歳の重賞だが、その一方で3歳の未勝利もいよいよ大詰め。ラストチャンスに挑む3歳馬たちの戦いにも注目したい。この雨ひとつ取っても、馬たちの将来を左右しかねないと思えば、見え方も変わってくる。

3レースの3歳未勝利戦は芝2000m。当然ながらフルゲート16頭。うち5頭が連闘馬。レースはハナを奪ったアラタマフェーヴルを、3〜4コーナー中間あたりで人気のタルタロスがかわして先頭に立った。しかしアラタマフェーヴルも諦めない。直線半ばで内から差し返すと、なんとタルタロスに4馬身もの差をつけて先頭ゴール。土壇場で初勝利をもぎ取ってしまった。

敗れたタルタロスは今月だけで3戦目の競馬。そのすべてが2着だから切ない。獲得賞金の比較ならアラタマフェーヴルを上回っている。しかし勝たねば意味がないのがJRAのルールだ。4コーナーで先頭に立った瞬間、関係者は未勝利脱出を確信したことだろう。しかしアラタマフェーヴルはその名から分かる通りオルフェーヴルの産駒。あの阪神大賞典を思い出して頂ければ分かるように差し返し戦法は得意技のひとつ。雨にも滅法強い。タルタロスにしてみれば相手が悪かったとしか言いようがない。

4レースはダート1700m。もちろんこちらもフルゲート。うち連闘は5頭だが、なんと3連闘も一頭含まれる。みな必死だ。

1番枠を利してマクミランテソーロがハナへ。水を含んだダートのペースは早い。誰も競りかけぬまま直線に向くと、あとは独走。後続を3馬身突き放す圧勝で、こちらも嬉しい初勝利を手にした。

マクミランテソーロが持ち時計を2秒以上も縮めて勝ったことを思えば、このレースも雨が勝敗を分けた感が否めない。悔しい2着のハイケンスは、勝負の3連闘策も実らなかった。着順で言えば、たかだかひとつの差だが、ここに天と地ほどの差が生まれる。今日ほど競馬が非情に思える日もあるまい。

今日敗れた馬たちの中には、雨に文句を言いたい向きもあるだろう。しかし展開や枠順が競馬のうちであるように、雨も競馬のうち。厳しいようだが仕方ない。そもそも競馬は厳しいのである。

午後になると完全に雨が上がり、夏の日差しが戻ってきた。明日は3場でJRA今年最後の3歳未勝利戦が行われ、142頭が初勝利を目指してゲートに入る。そのうち勝ち上がることができるのは、わずか9頭でしかない。今年の札幌競馬もいよいよ明日が最終日。それは一年間でもっとも競馬の厳しさを思う日でもある。

 

***** 2024/8/31 *****