静内の朝

昨夜、門別競馬場を出てからは、そのまま静内まで車を飛ばして宿を取った。いつもなら鵡川のホテル「四季の風」だが、今回はむかわ町復興応援フェスタというイベントと重なり予約が取れなかったのでむかわ町は通過。北海道胆振東部地震から来週で丸6年になる。早いモノですね。

静内での宿は「ホテルサトウ」と決まっている。―――と言ってもそれは20年以上も昔の話。ここ十数年は静内に泊まる機会自体がない。鵡川か浦河ばかりになっている。それでも、若い時分はこのホテルを拠点に馬を見て回った。それが縁で私の個展にお花を送っていただいたこともある。なのに、いつの間にか疎遠になってしまった。ちょっと申し訳ない。

それにしても、なぜこのホテルを定宿にしていたのか。静内にはほかにもホテルがたくさんある。部屋の窓から太平洋が一望できるわけではないし、新鮮な魚介をふんだんに使った料理が出るわけでもない。ごくごく普通のビジネスホテル。窓から見えるのは駐車場だし、エレベーターはないし、防音も緩いから宴会場の声が部屋にまで聞こえてきたりする。

それでもここを選ぶのは、なぜか落ち着くから。このホテルの良さをひとつあげるなら、その圧倒的なアットホーム感を置いて他にない。多くの調教師たちに人気なのも頷ける。たしか生前の大川慶次郎氏も定宿にされていた。

こちらでのいちばんの楽しみは朝食。ホテルの朝食バイキングだと思えばモノ足りぬと感じる客もいるかもしれないが、これが美味いんですな。特に今回はシシャモが嬉しい。鵡川に泊まることこそできなかったが、鵡川名物を味わうことはできたからそれでヨシとする。

朝からご飯を3杯おかわり。食後のコーヒーを飲みつつ、スポーツ紙の競馬欄を眺める。天候は快晴。そしてこれからウマを見に行く。このひとときを至福と呼ぶ以外になんと言えばいいのか。こういう時間こそが旅の本質であろう。思えば、最近の日高訪問は仕事感が先に立っていなかったか。久しぶりに静内の朝を堪能した。

 

***** 2024/8/30 *****