読売マイラーズカップ当日に

昨日の東京競馬場でのこと。フローラSが終わって帰途につくため府中本町駅への専用通路を歩いていると、「号外でーす」という掛け声とともにスーツを着た男女4人ほどが紙面を配っていた。

おそらく来週の天皇賞(春)の想定馬柱であろう。そう思って受け取ると意外な厚さがあった。しかも題字には「読売新聞」とある。

天皇賞の想定馬柱を出すとしたらスポーツ紙のはず。読売の号外ということは何か大事件でも起きたのか。しかし、こんなところで号外を撒くなんて聞いたことがない。帰宅してからその紙面を開いてみると、ゲートの写真が現れて、

さらに紙面を開くと迫力ある馬群の写真が広がった。左から4頭目はミックファイア。緑帽ということはどうやら昨年の東京ダービーのワンシーンであろう。

紙面を隅々まで探してみたがどこにも「号外」の文字はない。その代わり「広告特集」と書いてある。つまりはチラシ。ダマされた。せめて羽田盃の確定馬柱くらい掲載してくれていれば役にも立ちそうなものだが、それすらない。このあたりはいかにも読売らしい。

「読売らしい」とはどういうことか。朝日も毎日も産経も日経も2つ以上のJRA重賞に正賞、いわゆる「社杯」を提供しているが、読売はたったひとつ。それが昨日の読売マイラーズカップ。条件戦の読売杯西海賞も、いつの間にか「読売杯」の文字が消えていた。つまり競馬に冷たいのである。編集方針で「公営ギャンブル有害論」を謳っている割にGⅠとGⅡを抱えている朝日とはエラい違いだ。

とはいえ川崎と船橋の2つの競馬場を所有し、金沢では「読売レディス杯」を提供している読売は、実は地方競馬には優しい姿勢を打ち出しているのかもしれない。この紙面の広告主はNAR(地方競馬全国協会)だ。

この広告特集の一面には「世界のダートシーンで活躍した日本馬に三冠の称号を持つものはいない」とある。それは当然。これまで我が国のダート競馬には、JRAを含めた全日本的な三冠レース体系は存在しなかった。だからそれを作った。3日後から始まるから観に来てね。そんなことを言いたいのだろうが、この紙面ではちょっと伝わりにくい。

実は同じようなA1を横につなげたような印刷物は、昨年の京都競馬場グランドオープン時にも街頭で配られた。あちらは競馬場の緑を貴重としたカラフルな紙面デザインで好評だったが、ダート競馬のイメージはどうしてもモノクロームになりやすい。

「激しい舞台には芝は生えない」

これは、かつて大井競馬場が実際に使っていたキャッチコピー。JRA所属馬が初めて登場する羽田盃は8頭立てと寂しい頭数になってしまったが、少数精鋭の激しい戦いを期待したい。

 

***** 2024/4/22 *****