外枠不利は本当か

年末の挨拶回りで多忙を極める中ではあるが、昨日は有馬記念の枠順抽選のテレビ中継に見入った。

枠順抽選の模様が初めて中継されたのは2014年だから、今年はちょうど10回目。内側から淡々と希望馬番が埋まって盛り上がりに欠けた初回の反省を踏まえて採用された現在の手法にも、もうずいぶん馴染んだ感がある。12番目に呼ばれたスターズオンアースの時点まで、大外⑯番枠が空いていたことからババ抜き的スリルも満載だった。終盤まで内外がまんべんなく残った展開は見ている方も楽しいし、陣営にも「自分で選んだ」という気持ちが芽生えよう。

それにしても「内枠信仰」の根強さは初回から変わらない。8枠を引いたクリストフ・ルメールは、同じ8枠に決まった池添謙一の肩を抱き寄せて、二人揃ってうなだれて会場を後にした。笑いを誘う意図があったにしても、半分以上は本音の仕草であろう。

競馬では出走全馬がコースに対して横並びでスタートする。走る距離だけを考えれば内側の1番枠が最も有利。外枠が不利であることは何も中山芝2500mに限ったことではない。

ただ、中山ダート1200mや東京ダート1600mのように、スタート直後に芝コースを横切る場合、内枠の馬は内ラチに押し込められるリスクを孕むし、ブリンカー着用の馬なども内側で窮屈に走るより、外目をのびのびと走らせた方が良い。ブリンカー着用宣言のディープボンドは、絶好の3枠⑥番がアダになる危険性を孕む。

そもそも中山芝2500mの「外枠不利」は本当なのだろうか?

1988年1月以降に行われた中山芝2500m戦で、フルゲート16頭で行われた55鞍の1・2着馬の馬番号を調べてみた。繰り返すが今の私は、野球、バスケ、サッカー、ラグビーに加え、アイスホッケー、バレーボール、アメフトにも手を広げて中山にも大井にさえも行けぬ日々が続いている。それでも外枠不利への興味が勝り、トイレに行く時間をも惜しんで過去の結果を調べ尽くした。どうか心して調査結果をご覧いただきたい。

馬番 1着 2着
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①番 2頭 2頭
②番 3頭 3頭
③番 6頭 5頭
④番 1頭 5頭
⑤番 2頭 5頭
⑥番 4頭 4頭
⑦番 4頭 3頭
⑧番 3頭 2頭
⑨番 4頭 5頭
⑩番 3頭 5頭
⑪番 3頭 9頭
⑫番 6頭 3頭
⑬番 7頭 1頭
⑭番 1頭 1頭
⑮番 1頭 2頭
⑯番 3頭 0頭

以外なことに、もっとも多く勝ち馬を出しているのは7枠⑬番であった。タスティエーラの関係者は強気になれる。⑬のゼッケンを付けたゴールドシップの独走はまだ記憶に新しい。

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さらに連対数で言えば6枠⑪番がダントツのトップ。ハーパーが連に絡めば高配当は間違いない。逆にわずか2連対の⑭番枠だが、そのうちの1勝が有馬記念であることは強調しておく必要があろう。1997年のシルクジャスティスだ。

Silkjustice

数字を見る限り、外枠は内枠に比べればわずかに劣勢と言った程度。わずか55サンプルであることを考えても、致命的な差を見出すことは難しい。とはいえ、きっと騎手たちは数字には表れぬ有利不利を身体で感じているのであろう。少なくとも不利だと思って乗る時点で既に不利が生じている。有馬記念ほどの大舞台となれば、心理面がもたらす影響も無視できまい。それが垣間見えたという点で、今年の公開抽選は見応えがあった。

 

 

***** 2023/12/22 *****