ふらっと立ち食いそば

昨今のテレビ業界はグルメ一辺倒。バラエティー、情報ワイド、旅番組からドラマに至るまで、とにかくテレビをつければ誰かが何かを食べている。さすがに食傷気味だが、BSではニッチなテーマに絞ったグルメ番組がコアな視聴者に受けているらしい。「町中華で飲ろうぜ」(BS-TBS)や「飯尾和樹のずん喫茶」(BSテレ東)といったあたりが代表格だが、「ドランク塚地のふらっと立ち食いそば」(BS日テレ)なんかもついつい視てしまいがちだ。

ドランクドラゴン塚地武雅さんが訪れるのは街中の普通の立ち食いそば屋さん。注文もごく普通の天ぷらそばだったりする。食べる前に店主や常連さんとの絡みもあるが、まあ驚くような展開にはならない。なにせ普通の立ち食いそば屋さんですからね。正直「こんなの誰が視るんだ?」と思う。そう思いながらなぜか最後まで視てしまう。すると今度は無性に立ち食いそばが食べたくなる。

それで今日は一日早い年越しそばとばかりに、八丁堀の「スエヒロ」を訪問してみた。14時で店終いなので急がなければならない。なにせ朝3時から営業。タクシー運転手に愛される一軒でもある。

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1978年の創業。黄色い看板とゲソ天で有名な「六文そば」の系譜を継ぐ。名物の太そばはうどんと見まごうばかりの太さ。漆黒のツユに黒い麺。その上に載せたジャンボゲソもツユを吸って黒くなって「黒づくめの一杯」だが、その色合いから想像されるほど塩辛くはなく、さば節と宗田節で取ったダシのうまみが後を引く。

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ところでイカの足は何本かご存じですか?

「10本」と答えるのが普通であろう。だがしかし、学術的にはタコと同じ8本らしい。突出して長い2本は、実は「触腕」という特殊な器官で、足としてはカウントしないのだそうだ。とはいえゲソはゲソ。食べてしまえばみな同じである。

閑話休題。ゲソ天の話に戻る。

ゲソ好きなら日暮里の「一由そば」も外せまい。

こちらも「六文そば」の流れを汲む一軒。「太そば」があったりゲソ天にジャンボサイズがあるのも「スエヒロ」と同じだが、24時間営業というのが嬉しい。

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さらに注目すべきは、まさかの「ゲソ寿司」。

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紅ショウガが混ぜ込まれたシャリの上にゲソ天が載っているだけなのだが、これがなぜか美味い。とはいえ、かなり大ぶりなので注意した方がよい。それでも「ドランク塚地のふらっと立ち食いそば」でこの店を訪れた塚地さんは、ジャンボかき揚げそばを食べたあとに、平然とゲソ寿司も食べていた。さすがですね。

ちなみにBS日テレの年越しは「ふらっと立ち食いそば」の特番らしい。他局はカウントダウンダウンの特番が勢ぞろいのはず。「こんなの誰が視るんだ?」と思いながら、やはり視てしまうのだろうな、きっと。

 

 

***** 2023/12/30 *****