【新春駅麺探訪①】えきめんや

今年も南関東は川崎開催で幕を開けた。川崎大師への初詣のみならず、箱根駅伝の応援で京急川崎駅を使われる方も多かろう。折しも川崎駅から川崎競馬場への送迎バスは運休中。歩かずに競馬場に行くなら京急川崎から大師線に乗る必要がある。

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京急川崎駅大師線発着ホームに「えきめんや」という立ち食い店が、一風変わったサービスで人気を集めているのをご存知だろうか。実はこの店、ツユを関東風と関西風の二つの味から選べるのである。

俗に「関西の味付けは薄味」というイメージで語られることが多いが、その源流にあるのは食べ物を長持ちさせるために生まれた塩漬けや昆布〆の技術。素材そのものに塩分が含まれているから、それに直接醤油をつけるとしょっぱくて仕方ない。そのため醤油はダシで薄めて使わざるを得なかった。

うどんやそばのツユの味にしても然り。うどんの味を決定するのは小麦粉と水とあとひとつ。それは塩である。特に讃岐うどんには多くの塩が含まれているから、濃い味のつけ汁を必要としない。

対して東日本で発展したそばには塩分が含まれていないから、濃い味のつけ汁を絡めて旨味を補強しないと物足りないのである。それが関西のうどんと関東のそばのツユの味を決定的に分けた。ともあれ味つけの度合いは、素材に塩分が含まれているかどうかに左右される。

だから、本来うどんには関西風、そばには関東風のツユが合うはず。「えきめんや」の食券販売機にもそう書いてある。とはいえ、逆がいけないなどということでは決してない。せっかくだからいつもとは違う味の組み合わせを楽しんでみよう。厨房のおばちゃんに食券を渡しながら、「うどん、関東で」などと手短に伝えるのが通のオーダーである。

「えきめんや」の変わったことと言えばもうひとつ。期間限定でこんなメニューを展開している。

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イカフライおかか弁当」もとい「麺当」は、巨大なイカフライにちくわ天、おかか、炒り卵、赤ウインナーまで入った、見た目はのり弁、中身はうどん(そばでもよい)という摩訶不思議なな一杯。バランまで入れる念の入れよう。もちろんツユは関東、関西の好きな方を選べる。実際食べてみると、思ったほど違和感はない。そもそもコメに合うものは、うどん・そばにも合うのである。

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そんなわけで、引っ越し後の当ブログも、どうぞ変わらぬご愛顧をお願いいたします。

 

***** 2024/1/2 *****