騎手馬名

年が変わって短期免許の外国人ジョッキーの顔ぶれも一新した。聞き馴染みのない名前も増えている。まずはこちらも勉強から。そうは思ったが、ルメールルメートル、キングにキングスコート。いかにも勘違いしそうな名前が増えて怖い。

そもそも「キングスコート」は今日の今朝まで馬名だとばかり思っていた。「初日は4鞍」。そんな話を聞いて「そんなワケねーだろ」と突っ込んだのは、ボケだと思ったからである。齢を取ると思い込みが激しくなっていけない。

キングスコート騎手は英国に拠点を置く35歳。一昨年の英ダービーをデザートクラウンで制しており、来月いっぱいまで日本で乗るという。ダービージョッキーに対して失礼なことをした。

でも「キングスコート」っていかにも競走馬風の名前に聞こえませんか。調べてみるとやはり馬のキングスコートも過去には存在した。バリモスニセイ産駒の牡。1979年生まれで、戦績は不明だが「王の建物」あるいは「王の中庭」という意味だから馬名としても不自然ではない。世が世ならばキングスコートにキングスコートが騎乗なんていうミラクルも起きたのだろうか。

競走馬の命名には様々な制約があるが、禁止事項の中には「著名な人物の姓名」も含まれる。かつて「タケユタカ」という馬がいたのはつとに有名。1971年生まれのパーソロン産駒の牝馬で馬主は近藤たけ氏だった。お分かりのようにこの命名はオーナーの名前から取ったもの。命名当時は2~3歳だったはずの武豊騎手を意識した可能性も捨てきれないが、少なくとも馬名審査に影響があったとは思えない。しかし、今となっては認められることはないだろう

ただし、姓または名のどちらか片方のみであれば認められるケースもある。「タナカ」や「シバヤマ」、あるいは「ナナコ」や「セイナ」という馬名も過去にはいた。今日だって中山1Rで「サナダ」という馬が走っている。これなら特定の著名人を指しているとは言いにくい。京都1Rにはヤルキゲンキフトシに小牧太騎手が乗っていた。そういう意味ではキングスコートという馬にキングスコート騎手が乗り、松山騎手が跨るマツヤマと叩き合いを演じることも、絶対に無いとは言い切れまい。ちなみに「マツヤマ」という馬も過去に実在している。

1992年3月14日YWJSでオスカーピークに騎乗した田中勝春騎手

ちなみに「カツハル」は過去に3頭も登録された人気の“騎手馬名”。直近では1996年に生まれたオークワ―ス産駒の牡馬で、地方通算5勝を挙げたカツハルがいる。もちろん田中勝春騎手が現役バリバリで乗っていた時代の出来事。命名理由は「(クラシックの行われる3歳の)春に勝つ」で良さそうだ。間違っても「田中勝春が著名人に相当しない」という理由で審査に通っていたわけではないことを祈りたい。

 

***** 2024/1/6 *****