競馬は続く

今年の皐月賞は2番人気のジャスティンミラノが直線で豪快に伸びて差し切り勝ち。GⅠ初制覇をコースレコードで飾った。1分57秒1は凄い。ナリタブライアンが2分の壁を破ったときは競馬場全体が揺れるほどどよめいた記憶がある。あれから30年。1分57秒の壁が破られる日も遠くはあるまい。ただ、今回の快時計を生み出したのは間違いなくメイショウタバルの浜中俊騎手である。先日亡くなった藤岡康太騎手とは競馬学校の同期。大の仲良しだった。思うところがあったに違いない。

直線でジャンタルマンタルが一気に抜け出して後続を離したときは、勝負あったかにも思えた。川田将雅騎手も今回は期するところがあったはず。ジャスティンミラノとコスモキュランダが併せ馬で追い込んできたのが一拍遅れたように見えたのは、ジャンタルマンタルの一瞬の脚があまりに鮮やかだったことと、その脚が本当に「一瞬」だったことによるものか。川田騎手は言葉を選んでコメントしていたが、良くも悪くもマイラーとしての資質の高さ示したように思えてならない。共同通信杯の2着も、今回の3着確保も、その能力の高さゆえであろう。

一方で勝ったジャスティンミラノとって距離延長は不安要素ではない。なにせ共同通信杯の直前まで、2400mのゆりかもめ賞との両にらみだった。中間の追い切りで重賞3勝の古馬サトノグランツに先着。あまりの調子の良さに友道康夫調教師が重賞挑戦を決断した経緯がある。その好調ぶりを友道師に伝えたのが、ジャスティンミラノの調教パートナーだった藤岡康太騎手だった。

皐月賞のレース後、友道師は二冠獲りを宣言した。管理馬をダービーに送り込むのは5年連続。なにか特別なレシピでも持っているのだろうか。しかも現役最多のダービー3勝をマーク。しかし2冠制覇はまだない。2009年アンライバルドは1番人気でダービーに挑んだが、記録的な豪雨に泣いた。

昨日から今日にかけて泣いた人もたくさんいる。私もいっぱい泣いた。藤岡佑介騎手の挨拶を見て泣き、黒岩騎手のジョッキーカメラ映像を見て泣き、勝浦騎手のラスト騎乗にもちょっとだけ泣き、戸崎騎手のインタビューを見て泣き、レース後に号泣する友道師の姿を見てもらい泣きした。こんなに泣いたのは近年記憶にない。なにせ親が死んでも泣かなかった私である。

しかしいつまでも泣いてはいられない。競馬は続く。たまに振り返ることも大事だけど、今は前を向こう。

 

***** 2024/4/14 *****