名古屋の神戸新聞

今年の神戸新聞杯阪神競馬場改修工事に伴い中京競馬場の芝2200mで行われる。

【1990年以降に中京で行われた神戸新聞杯
 1990年 センターショウカツ
 1991年 ロングタイトル
 1994年 スターマン
 1995年 タニノクリエイト
 2006年 ドリームパスポート
 2020年 コントレイル
 2021年 ステラヴェローチェ
 2022年 ジャスティンパレス
 2024年 ?

ごらんの通り、中京での神戸新聞杯は決して珍しいものではない。この5年に限っても4度目。1990年以降では9回を数える。ほぼ4年に1回のペースで中京で行われている計算だ。ならばオリンピックと変わりない。神戸新聞はよほど名古屋が好きと見える。だが、名古屋には神戸新聞の販売網も取材網もない。いったいどうなっているのか。

同じ日に中山ではオールカマーが行われる。ゆえに神戸新聞杯をわざわざ観に行く機会はほとんどない。それでも筆者は3年前の神戸新聞杯に足を運んだ。ダービー馬シャフリヤールの秋緒戦を観ておきたかったのである。

ダービー馬が秋の緒戦にセントライト記念を選ばなくなって久しい。ダービーを勝つのが関西馬ばかりなのだから当然と言えば当然だ。だから私の方から神戸新聞杯に出向いたこともなかったわけではない。ただ、私が阪神に足を運んだ1993年も2001年も神戸新聞杯にダービー馬の姿は無かった。つまり、私は過去にダービー馬の秋緒戦を観戦した経験を持たなかったのである。それの思いが私を中京競馬場へと駆り立てた。

中京競馬場は大雨。しかしファンは熱狂状態だった。なにせダービー馬の秋緒戦である。馬場状態は不良。神戸新聞杯が不良で行われるのはスピードスターが勝った1985年以来のことだ。

雨に煙る4コーナーを回って馬群が直線を向いた。スタート時の拍手の割に歓声が上がらないのは、新型コロナによる応援マナーのせいではなく、シャフリヤールの手応えがあまりに悪かったからであろう。ここへきて競馬場を覆い尽くす空気は熱狂から戸惑いに変わる。シャフリヤールは伸びない。そしてゴール。一転、場内は落胆一色に包まれた。

2021年 神戸新聞杯 ステラヴェローチェ 吉田隼人

敗因があるとすれば36年ぶりの不良馬場に違いない。とはいえモンテディオすら交わせなかった事実は残る。そこは天下の日本ダービー馬。負けるにしても負け方というものがあるはずだ。その思いの切実さは、現地に行くことでより際立つ。昨年のタスティエーラに続いて、今年のダービー馬ダノンデサイルも菊花賞に直行することになった。それが常套になりつつある時代であることは承知しているが、やはり一抹の寂しさを禁じ得ない。

 

***** 2924/9/18 *****