グランプリとチャンピオンシップ

明日は大井でマイルグランプリ、そして週末は京都でマイルチャンピオンシップと、似たような名前の重賞が続く。それで思った。「グランプリ」と「チャンピオンシップ」は、いったいどちらが上なのか?

辞書を引くとだいたいこのように書いてある。

「グランプリ(=大賞)」
芸術・文化・スポーツなどの各分野で最高位とされる賞

「チャンピオンシップ(=選手権)」
ある競技の中で最も優れた個人あるいはチーム、即ち優勝者を決めるために行なわれる大会や試合

つまり「最高位」VS「最も優れた」という表現の比較になるのだが、どちらも「最」である以上、比較のしようもない。敢えて違いを探すとすれば、グランプリは芸術、文化にも領域を広げて使われる一方、チャンピオンシップは「ある競技の中で」と対象を絞ることを示唆しているあたりだろうか。たしかにJRAの「チャンピオンシップ」はマイルだけ。その年のナンバーワンホースを決めるのは「グランプリ」たる有馬記念だ。

Mile_gprix

大井のマイルグランプリはもともと南関東G1(現SⅠ)格付けでスタートした。記念すべき第1回の覇者はアマゾンオペラ。以来10年間、南関東におけるマイル路線の最高峰として君臨し続けた。写真は第4回の覇者アブクマポーロ。交流GⅡ2勝のカガヤキローマンに6馬身差を付ける圧勝だった。アブクマポーロはこの年のNARグランプリも獲得している。

しかし2006年の11回目からマイルグランプリは突如G2に変更された。レースの格は低いのに、レース名が「最高賞」のままなのは理解に苦しむが、なぜかそのまま現在に至っている。格下げ後3年間の優勝馬ナイキアディライトアジュディミツオーフジノウェーブだから皮肉としか言いようがない。レース名と格付けに矛盾を生じたものの、この3年間に限ればグランプリの名に相応しい馬が優勝を果たしたことになる。

大井記念戸塚記念などSⅠ格上げが相次ぐ昨今だが、マイルグランプリはSⅡに据え置かれたままだ。そもそも南関東マイルグランプリに冷たいフシがある。施行時期にしても5月のレースとしてスタートしながら、すぐに4月開催となり、さらに3月へと早まったかと思いきや、その後も11月、10月、7月、8月と目まぐるしく変わった。ちなみに昨年は7月に行われて、今年は11月。そして今日発表されたばかりの来年のスケジュールでは10月の実施とある。期待されたSⅠ格上げ発表も無かった。これではファンの印象にも残るまい。

ちなみにマイルグランプリマイルチャンピオンシップが同じ週に行われたことは過去に一度だけある。2017年のことだから比較的最近の話。マイルの「グランプリ」はセイスコーピオンが獲得し、マイルの「チャンピオン」にはペルシアンナイトが輝いた。さて、今年は?

 

 

***** 2023/11/14 *****