幕張であの蕎麦を

コロナ禍と自身の大阪行きのおかげで、新規開店の報を聞きながら訪問を果たせぬままだったお店がたくさんある。さすがに3年のブランクは小さくない。やれバスケだ電車だとあちこち出掛けるのにかこつけて、そういう店を片っ端からやっつけていくことにした。

原宿の明治通りから表参道寄りに一筋入ったあたりに暖簾を掲げる「麺散」は、大阪に行く前から訪れたかった一軒。新宿の名店「慎」にいらした職人さんが麺を打っていると聞いたのがその理由だが、それも5年前の話だから、今はどうなのか分からない。とりあえず鶏天ぶっかけを注文した。

Chirashi_20231117222601

麺は間違いなく手打ちのそれである。麺線も盛りつけも美しい。でも「慎」とは違って、コシに若干の遠慮が感じられた、そういう意味では私が先月まで慣れ親しんでいた関西讃岐に近いが、もちろん相当に美味しいうどんであることに違いはない。大半の客が女性なのは場所柄であろう。インバウンドの姿も目立つ。

続いて訪れたのは幕張の蕎麦店「さくら」。2022年6月9日付のエントリ「梅雨競馬」に、ギムレット様から寄せられたコメントでその存在を知ってからというもの、早く訪れたいという思いは募るばかりだったが、なにぶん大阪から幕張は遠い。中山に行くことすらなかったのに、さらにその先まで足を運ぶのは簡単ではなかった。

Sakura1_20231117222601

ともあれ競馬関係者なら誰もが知る門別「いずみ食堂」の姉妹店である。長さも太さもマチマチな田舎蕎麦の神髄を具現したような蕎麦に惹かれて、馬とは関係なくやってくる観光客も少なくない。静内でセリがあれば出店するし、門別競馬場のスタンドでも営業している。

幕張のお店では細切りの蕎麦との合い盛りが人気らしいが、細切りでは何しにここまで来たのか分からない。「いや鉄道技術展だろ!」というツッコミの声を脳内から振り払いつつ、太切り蕎麦の大盛りと豚しゃぶのつけ汁を注文。

Sakura2_20231117222601

千葉で“いずみ蕎麦”が食える。愉悦である。

Sakura3_20231117222601

幅5ミリをゆうに超える麺は、生麺の状態ではストレートなのに、どういうわけか茹でると独特の縮れが現れるから不思議。その製造技術は門外不出だというが、この縮れが豚の脂が浮かぶツユをほどよく絡め取ってくれる。だから美味い。鉄道技術よりも蕎麦の技術の方が気になった。次回来訪時は細切りも食べてみよう。

 

 

***** 2023/11/15 *****