【訃報】ファルブラヴ

先週末、ジャパンカップの優勝馬種牡馬としても活躍したファルブラヴの訃報が伝えらえた。26歳。老衰だという。世界5か国を股にかけてGⅠを8勝した国際派も、寄る年波には勝てなかった。

2002年 JCを勝ったファルブラヴ(L・デットーリ騎手)

ファルブラヴの勝った2002年のJCは中山で行われた唯一のJCでもある。9番人気だった。ゴールは写真判定の大激戦。相手のサラファンに騎乗したナカタニ騎手とドライスティール調教師は勝った勝ったと大盛り上がり。しかし、写真判定が下した結果はハナ差でファルブラブが勝っていた。それをそれを聞いた騎手と調教師は大激怒。裁決に乗り込んでの抗議が終わるまで、表彰式が始まらず我々カメラマンもずっと外で待たされた思い出がある。あの日は11月とは思えない寒さだった。

2002年 JCの口取り

ファルブラヴの通算成績は26戦13勝。うちGⅠは8勝だが、その距離は8~12ハロンと実に幅広い。欧州マイル戦線の総決算たるクイーンエリザベスⅡSとJCの両方を勝つ馬など、もう現れないのではないか。馬場も、距離も、そして国さえも問わないタフさが産駒に伝わればと期待したが、産駒によるGⅠ制覇はついに叶わなかった。能力の幅が広過ぎたのが仇となった可能性もあるが、そもそも日本にフェアリーキングの血がひとまず合わなかったと考えた方が良さそうだ。エリシオも、オースも鳴り物入りで輸入されたものの、思うような結果は残せていない。

訃報を伝える記事には、母の父としてハープスターステルヴィオがGⅠを勝ったと紹介されているが、これは産駒の活躍が牝馬に偏っていたことの裏返しでもあろう。JRA重賞を勝った産駒7頭のうち5頭が牝馬で、残る2頭はセン馬。獲得賞金上位20頭を並べると、1位~19位まで牝馬とセン馬がずらりと並ぶ。ようやく20位に牡馬のエメラルエナジーが顔を出す有様だ。

海外での活躍に目を転じても、豪州で重賞2勝のBrava Fortuneは牝馬だし、英重賞2勝のFanunalterもセン馬だという。

そう思ってあらためてファルブラヴの血統を見れば、男兄弟もことごとく去勢されているところを見れば、あれこれ理由を探すより、「よく分からんがそういう血筋」と受け入れるしかあるまい。

今週のAJCCに登録のあるラーグルフは母の父がファルブラヴ。空前にして絶後となる中山芝2200mのGⅠ優勝馬の血の後押しを受けて、天国の祖父に良い報告をしたい。

 

***** 2024/1/15 *****