どっこい頑張る高齢馬

AJCCの登録13頭の中に8歳馬が4頭も含まれていて驚いた。しかもボッケリーニが京都大賞典2着、チャレンジカップ2着、マイネルウィルトスもアルゼンチン共和国杯2着、ステイヤーズS3着と近走成績は悪くない。カラテにしても重賞3勝の猛者だと思えば、人気の中心は8歳馬になりそうだ。

今年で65回目を数えるAJCCで8歳馬による優勝はないが、7歳馬による優勝は6回。さらにこの20年間で8歳馬による2着も8回記録されている。決してベテランに厳しいレースというわけでもない。

東海Sにも8歳馬2頭に加え、9歳馬エクスパートランも登録してきた。四半世紀ほど前の馬齢表記なら、それぞれ「9歳馬」「10歳馬」ということになるが、需要と供給のバランスはその当時から劇的に変化している。7歳にして戴冠を果たしたファストフォースや、8歳にしてGⅠを連勝したカンパニーらが示すように、今や7歳や8歳馬はどういう換算式を用いても年寄りではない。

しかもボッケリーニやマイネルウィルトスが7歳馬として重賞で好走したのは、つい先月の話である。表記が「8歳」になったのは便宜的なこと。1か月あまりで急に能力が衰えるはずがない。数字の持つイメージに振り回されると、馬券で痛い目に遭う。

調教施設や医療技術、さらに飼料管理の進歩により、サラブレッドの競走寿命は格段に延びた。晩成の素質が開花していく上昇曲線が、加齢による能力減退の下降曲線を上回るようになれば、人間の方も待つことが可能になる。一昨年の京都記念で初めての重賞制覇を果たしたアフリカンゴールドなどは、その典型であろう。

また、高齢馬は上がり目が少ない代わりに、極端な調子落ちもないとされる。体質さえしっかりしていれば、レースを使った反動は若駒より少ない。マイネルプロンプトが11歳の秋にしてJRAの2勝クラスを勝ち上がり、12歳を迎えてなおレースを走っている姿を見れば、なるほど納得させられるものがある。

走らなくなれば処分されることもある現実を踏まえれば、7歳や8歳になってもレースに出走できる馬が増えたのは決して悪いことではあるまい。高齢馬の活躍は競馬に携わる人たちにとっての励みでもある。折しも明後日の船橋報知オールスターカップには13歳のリッカルドが出走を予定。ちなみに海外に目を向ければ、2002年6月9日、英国バーバリーキャッスル競馬場で行われたスリーホースシューズHにおいて19歳のアルジャバルという馬が勝っていた。上には上がいる。

 

***** 2024/1/16 *****