ダービーを見据えて

共同通信杯東京競馬場はGⅠ並みの観衆で賑わっている。ジャンダルマンタルが関東初見参。みんな無敗の最優秀2歳牡馬をひと目観たい。心は既に4か月後に向いている。

朝日杯でジャンダルマンタルの2着だったエコロヴァルツも、ここを始動戦と定めて東上してきた。朝日杯の1・2着馬が揃って共同通信杯に出走することはかなり珍しい。サクラチヨノオーとツジノショウグンが出走した1988年以来だから36年ぶりになる。前者が1番人気、後者は5番人気の支持を受けたものの、それぞれ4着と8着に敗れた。

2歳チャンピオン路線からクラシックを狙う馬たちのローテーションは当時と大きく変わりつつあるが、サクラチヨノオーが敗れたように朝日杯と共同通信杯とを連勝する馬は案外少ない。グレード制導入後ではアイネスフウジンナリタブライアンの2頭に留まる。2006年にフサイチリシャールが、2019年にアドマイヤマーズが3歳初戦に共同通信杯を選び人気を集めたが、いずれも2着に敗れた。

そして今日のジャンダルマンタルも1番人気に推されたが、先に抜け出したジャスティンミラノを捉え切れず2着に敗れている。ナリタブライアン以来30年ぶりの快挙はならなかった。それでも、あれだけ掛かりながら32秒台の脚で2着を確保したのだから能力に疑いようはない。一方で初距離で負けたことも事実。ダービーではなく「皐月賞が大目標」という陣営のコメントが意味深長に思えて来た。

一方で勝ったジャスティンミラノとって距離は不安要素ではない。なにせ直前まで2400mのゆりかもめ賞との両にらみだった。中間の追い切りで重賞3勝の古馬サトノグランツに先着。あまりの調子の良さに友道調教師が重賞挑戦を決断したとされる。おかげでダービーに向けて余計なレースを使う必要がなくなった。現役最多のダービー3勝はダテではない。

ポジションを取るためにスタート直後にまあまあの脚を使っておきながら、上りでも32秒6という極限の末脚を繰り出すのだから恐れ入る。フサイチリシャールやアドマイヤマーズが2着に敗れた共同通信杯の優勝馬は、いずれものちにGⅠウイナーになっていることは忘れないでおきたい。総合力が問われる東京1800で2歳チャンピオンに勝つのは、決してまぐれではないということであろう。

 

***** 2024/2/11 *****