沈黙の艦隊

私を除く家族全員が旅行に行ってしまったので朝から犬と留守番。このチャンスを逃すまいと、Amazonプライムビデオ「沈黙の艦隊 シーズン1~東京湾大海戦~」全8話を一気見した。

週刊漫画雑誌「モーニング」で原作の連載が始まったは1988年。サクラチヨノオーがダービーを勝ち、19歳の武豊騎手が菊花賞を勝って史上最年少クラシック制覇の記録を作り、笠松から転入してきた3歳馬オグリキャップタマモクロスとの芦毛対決を繰り広げたあの1988年―――と言っても若い競馬ファンには分かるまい。なにせ36年前のことである。

全8話を視終えると、すぐに本物の潜水艦を見たくなった。クルマを飛ばせば横須賀まで30分もかからない。作中に登場した米空母ロナルド・レーガンも停泊しているはずだ。しかし留守番である我が身を顧みてグッと思いとどまった。

数年前に横須賀港内の自衛艦海上から眺めるクルーズに乗船したことがある。護衛艦「おおなみ」「てるづき」「やまぎり」、イージス艦「きりしま」、そしてヘリコプター搭載護衛艦「いずも」。陸からでは伝わらないその迫力から受けた感動は今も忘れぬ。

イージス艦 きりしま

クルーズ船ではガイドさんが自衛艦命名ルールも教えてくれた。護衛艦については気象、山岳、河川、地方。掃海艦や掃海母艦は島、海峡。魚雷艇は鳥、木。輸送艦艇は半島、岬―――など細かく決められているらしい。それを聞いて私が連想したのはJRAのレース名称のネーミングルール。2歳および3歳春までのレースには花、木、草が、古馬のレースには地名、河川、海洋、山岳、誕生石、月名、星座名が使われることになっている。

ということは自衛艦と同じ名前のレースがあるのではないか―――?

船着き場へと戻るクルーズ船の中で、不謹慎にもそんなことを思ったものである。競馬ファンはすぐにそんなことを考えるからいけない。

「いせ」「みょうこう」「あたご」「いなづま」……等々。護衛艦の大半はJRAのレース名と合致する。佐賀の霧島賞も、かつてはJRAの特別レースだった。掃海艇では「あわじ」、潜水艦でも「うずしお」などレースと同じ名を持つ艦艇があるが、残念ながら重賞レースと同じ名前を見つけることはできない。ひょっとしたら「JRAの重賞レース名と同じ名称を付けてはならない」などという内規でもあるのだろうか。護衛艦「なるお」とか魚雷艇「さつき」なんてあっても良さそうなもの。なにせかつての鳴尾競馬場は、旧日本海軍の飛行場となった歴史もある。

そんな私のバカな疑問に付き合ってくれたのは現役の海上自衛隊幹部だった。私との関係性をここに書いて良いのかどうか分からないのだが、ひと言で書けば「馬仲間」ということになる。彼によれば自衛艦命名に際し、JRA重賞と同じ名前とさせないという内規は「ありません」とのこと。当然ですね(笑)。ただし海上保安庁の艦艇との重複には気を付けているそうだ。なるほど勉強になりますな。

ドラマの一気見は6時間近くに及びながら、体感的にはあっと言う間に終わってしまった。実物の潜水艦を使った映像も、キャストが演じる乗組員の所作も、海上自衛隊が協力しただけのことはある。シーズン2の公開が待ち遠しい。いや、その前に火曜大井6Rのマイネルサブマリンで大勝負だ。

 

***** 2024/2/24 *****