続行競馬

今週は土曜日にも船橋競馬が行われる。大雪の影響で2レース終了後に途中打ち切りとなった船橋初日の3レース以降の10鞍を出馬再投票の上で行うという。新たに発表された出馬表によれば10鞍で計10頭が再投票しなかった。急な延期に加えてこの大雪では調子の意地も難しかろう。2月5日に購入した3レース以降の馬券はすべて払戻しとなるから注意が必要だ。

注意すべきはもうひとつ。明日の船橋は観客を入れずに無観客開催で行われる。このスタイルは昨年12月に大井競馬場が先鞭をつけた。12月5日の電気系統による開催取り止めに伴う代替開催を12月9日の土曜日に無観客で実施したことは、まだ記憶に新しい。無観客開催はやむを得ぬ選択であるが、決して無理な選択でもないことが証明された。もちろんネット(SPAT4・楽天競馬)での馬券発売は行われる。

それより私が気になるのは、一部のネットメディアが今週土曜の船橋開催を「代替競馬(代替開催)」と報じていることだ。代替競馬とは全てのレースを取り止めた場合に開催日を変更して行う競馬のことだから、今回のケースは該当しない。正しく書くなら「続行競馬」あるいは「続行開催」であろう。船橋競馬のリリースに「続行」とも「代替」とも書かれていないのは、聞きなれない言葉を使って余計な混乱を引き起こさせないための配慮かもしれない。だとしたらメディア側もその配慮を汲む必要がある。

スポーツ報知は「続行開催」

JRAでは2013年1月の中山で続行競馬が記録されている。このときは、JRAの公式サイトで一度「続行競馬」と発表しておきながら1時間ほどして「代替競馬」と書き直された。これは混乱予防のための特例的な措置。開催執務委員長の判断があったとされる。なにせ関東地域での続行競馬実施は史上初の出来事だった。

例をひとつ挙げる。1987年12月14日の中山競馬は定刻の午前10時に1レースがスタートしたが、レース前から降り始めた雪は一段と激しさを増し、2レース終了の時点で以降の中止が発表される。代替開催も続行開催もない。ただし、この日に予定されていたステイヤーズSは順延となり、翌週土曜の中山10レースに急遽ねじ込まれた。そのステイヤーズSをマウントニゾンで勝ち、続く11レースの3歳牝馬Sもシノクロスで制した嶋田功騎手は、競馬史上でも珍しい「1日2重賞制覇」の記録を達成することになる。

とにかくかつては開催の途中で雪が降ったら競馬は中止。重賞は翌週の番組にねじ込むというのがお決まりのパターンであったように思う。それはJRAも地方も変わらない。それが「続き」を全部やってしまおうというのだから時代は変わった。ありがたい話である。

 

ありがたいのは、船橋初日の最終レースに出走予定だった8連勝中のジゼルも同じであろう。一度は消えた獲得賞金加算のチャンスが復活したのは、彼女にとって決して小さからぬ出来事に違いない。主戦の森泰斗騎手は「重賞を意識している」と言ってくれた。重賞に出るためにはもっと賞金を加算する必要がある。デビュー以来の連勝記録は「9」に伸びるのか。筆者注目の浜風スプリントは土曜の夜20時50分発走だ。

 

 

***** 2024/2/7 *****