ますます遠のく競馬場

大手町駅大井競馬場とを結ぶ無料送迎バスが今週いっぱいで廃止になるとの情報が「X(旧ツイッター)」で駆け巡っている。真偽を確かめたワケではない。TCK公式サイトでも触れられていないから何かの間違いの可能性は残されているが、おそらく事実であろう。2019年に錦糸町駅ルート、翌20年には大森駅ルートが相次いで廃止されており、大井町駅ルートの廃止も時間の問題だった。

バスやタクシーを含めた業務ドライバーの残業時間が規制される「2024年問題」の影響をこういう形で実感するとは思わなかった。日本バス協会によると、2023年度に稼働している運転手は11万1000人で、必要とされる人数に対して1万人も足りていない。状況は今後も急速に悪化し、24年度は2万1000人、30年度には3万6000人まで不足数が拡大する見通しだという。

バス会社の中には、採算性の低い路線で運行本数を減らしたり、路線そのものを廃止したりするところも出てきている。仕方のないこと。そう思ってはいたのだが、まさか競馬場の送迎バスという形で我が身に降りかかるとは想定していなかった。

今となっては仕事で大井競馬場に行く機会もないから「死活問題」とまでは言わない。しかし大井町線沿線のファンにとっては一大事である。ただちに対応策の検討にとりかかった。

りんかい線天王洲アイルまで行き、モノレールに乗り換えて大井競馬場前駅で降りる
京浜東北線で大森まで行き、路線バス「森22系統」で大井競馬場前バス停で降りる
大手町駅から京浜東北線で品川へ行き、京浜急行に乗り換えて立会川で降りる

案①は競馬場こそ駅を降りてすぐだが、大手町や天王洲アイルでの乗り換えでめちゃくちゃ歩かされるのが難。そのうえ運賃が500円近くもかかる。ボツ。

案②も大井競馬場側のバス停は入場門に近いものの、いかんせんバスの本数が1時間に1~2本では使い物にならない。ボツ。

となるとやはり案③か。ただ京浜東北線の品川~大井町間は苦行のごとき混雑具合。大井競馬場から立会川駅までも地味に遠い。結局どの案も決め手に欠ける。もう大井には行くなということか。

そもそも業務ドライバーの2024年問題が競馬に与える影響としては、競走馬輸送、すなわち馬運車のドライバー確保問題の方がはるかに大きな問題だ。仮に人材を確保できたとしても輸送費用の高騰は避けられまい。それに比べれば送迎バス廃止は小さな問題であることはわかる。しかし、この四半世紀の間に地方競馬場は廃止や郊外への移転が相次いだ。さらにアクセス利便性まで失われつつある昨今の状況を鑑みて、競馬場がちょっとずつ「遠い存在」となっていることだけは間違いあるまい。

 

***** 2024/3/19 *****