春眠

春の陽気だった週末から一転、まるでトゥインクルの開幕を待っていたかのように東京は冬の寒さに逆戻りした。それでも会社帰りに気軽に競馬を楽しみたいファンにとっては多少の寒さは関係あるまい。まもなく桜も開花する。待ちに待った季節であろう。

しかし厩舎関係者にとってはつらい時期の始まり。最終レースを使えば就寝は零時近くになりかねない。それでも朝の作業は午前2時から始まる。その間わずか2時間。シフト制にしていたとしても、睡眠不足感は否めまい。なので、たいていの厩舎では朝の調教を終えた午前10時頃からお昼寝タイムを設けるわけだが、生活リズムに慣れるまでは心身ともに疲労が溜まるのだそうだ。私も未だに時差ボケが抜けない。

地方に限らず中央でも、あるいは競馬場に限らず牧場でも、朝の調教や放牧の作業が終わったあと、ひと眠りする人は少なくない。いや、最近では一般企業や学校でも「お昼寝」を奨励するケースが増えているのだそうだ。昼寝をすることにより、午後の集中力を保てるだけでなく、夜の睡眠も深くなって健康にも良いのだという。

精神生理学の理論によると、人間に限らず昼間行動する動物は、すべからく午後3時前後に眠気に襲われるものらしい。これは自然の摂理で、抗う術はないのだそうだ。だから無駄な抵抗はせずに眠ってしまった方が得策だというのである。

競馬場でも、ベンチや芝生で横になって寝ているオジさんたちを見かけるのだけど、あれは精神生理学に基づいた正しい行為なのかもしれない。眠気が訪れる午後3時前後はメインレースを控えた勝負処でもある。その期に及んで睡魔との戦いに気を奪われているようでは、馬券の勝利などあり得まい。まあ、中にはメインレースの時間になっても、ぐうぐう寝ているオジさんもいますけどね。

私自身は家の外ではなかなか眠れぬタチ。ショックのあまり気を失うことなら稀にあるものの、競馬場で眠ったことも当然ない。電車はおろか、新幹線でも、飛行機でもなかなか寝付けない。だから「VIVANT」全話一気見なんてことになる。今日も昼過ぎに強烈な眠気に苛まれた。これでは大井トゥインクルどころではない。早く帰って、たくさん寝よう。

 

***** 2024/3/18 *****