ラジオ実況の奥深さ

おとといはクルマで千葉方面へ。いったん幕張に立ち寄り、成田空港でボストンに向かう娘を見送って、圏央道をぐるりと回って春日部の父親に会ってきた。一日ずっとハンドルを握っていた気がする。このトシになると親のこととか子供のこととかいろいろあって、休日とはいえ思うように休むこともできない。競馬場などなおさら。ともあれ日曜の競馬はすべてラジオ日本「日曜競馬実況中継」のお世話になった。

ラジオ実況はテレビと違ってアナウンサーの声だけが頼り。応援する馬の名前が一度も呼ばれずに終わってしまうことも。これは正直ガッカリする。ただ、アナウンサーが全馬の名前を呼ぶことのみに腐心するあまり、前の方で大きくレースが動いたのを伝え漏らしては話にならない。難しいですね。だが、難しいゆえに味わいもある。

ゴール前の大接戦がアナ泣かせの展開であることは言うまでもない。だから半馬身くらいの着差があっても「並んでゴール」とか「内がやや体勢有利か?」などと断定を避ける実況になるのも理解できるのだが、その中にあってラジオ日本のアナウンサーは、けっこうきわどい決着でも断定気味に実況しているように思う。

感じ方は人それぞれであろうが、私はこれに好感を抱いている。そりゃ、裏目に伝えられてヌカ喜びさせられたりしたら腹も立つだろうけど、競馬場のファンでもハナの勝負をちゃんと見極めているのだから、そういう姿勢を見せるのがプロというものであろう。

数年前のダービー当日の朝、人もまばらな場内のレストランに一人で座り、運ばれてきたコーヒーに砂糖ばかり大量に入れて、全然口を付けようとしないアナウンサーを見かけたことがある。案の定、そのアナウンサーはダービーの実況を担当されていた。

ダービーの実況担当ともあれば、騎手と同じくらいアナウンサーも緊張するもの。他のアナウンサーの話では、レース前は双眼鏡を持つ手が震えて止まらなくなることもあるらしい。そんなとき先輩アナに「1コーナーで息を入れろ」と言われたら、不思議と震えが止まったのだとか。アナウンサーの仕事には、騎手にも通ずるところが確かにある。

 

***** 2024/3/26 *****