南関東の多くの競馬ガチ勢にとって、一年のトリを飾るのは有馬記念でなければ、ホープフルSでもなく、さりとて東京大賞典でもない。そう、それは東京2歳優駿牝馬。今年は7番人気のプラウドフレールが直線でポッカリ空いた最内を突いて抜け出すと、圧倒的1番人気ゼロアワーの追撃を凌いで重賞初制覇を飾った。と同時に、昨年のこのレースで2着に敗れた半姉ミスカッレーラの雪辱をも果たしたことになる。

「トリ」の正式な表記は「取り」。あて字で「主任」とも書くことも。本来の意味は「寄席で最後に出演すること、またその人」で、「真打ち」の俗称でもある。かつて寄席の木戸銭は興行主と真打ちで分けて取っていたという。だから「取り」。仮に不入りなら、真打ちが自腹を切って出演者に取り分を回すことで「面倒も取った」のだという。
トリと言えばNHK紅白歌合戦。紅組はMISIAさんが、白組は福山雅治がトリを務めた。この二人によるトリは5年連続。紅白の対戦形式だから、男性と女性それぞれにトリがいる。いずれかのトリがいちばん最後に歌う「大トリ」を務めなければならないが、NHKによればトリや大トリを選ぶ特別の基準があるわけではなく、その年の演出の中で決まっていくとのことらしい。
そういう意味では重賞レースのトリは東京2歳優駿牝馬だが、一般レースも含めれば最終12レースが正真正銘の大トリだ。その名も「おおとり賞」。このレースのパドックが始まると、いよいよ今年も押し詰まったと実感する。そんな一戦にこのブログで今年1年間追い続けたジゼルが登場してきた。

今年はしらさぎ賞で重賞初挑戦。3着に敗れて、デビューから続けた連勝は11で止まったが、その後アフター5スター賞トライアルを逃げ切って大井コースを克服。ダートグレード初挑戦となった東京盃でも8着と踏ん張った。主戦の森泰斗騎手の引退に伴い、今回は笹川翼騎手が初めて手綱を取る。新たな年の新たなチャレンジに向け、心機一転で新味を見出したい。
ゲートを五分に出て中団外目を追走。例によって3コーナーで手応えが悪くなるシーンはあったが、直線大外から豪快に差し切ると笹川翼騎手の左手が挙がった。条件戦とはいえ「大トリを取る」ことの意義は大きい。勝負師はそういうことを考えるものである。もちろん引退した森泰斗騎手から受け継いだ手綱という思いもゼロではなかろう。

昨日の東京シンデレラマイルを除外されて、やむなくこちらに回ったことが結果に功を奏した。祖母は2008年のトゥインクルレディー賞を勝ったスターオブジェンヌだから、南関東とのゆかりも深い。血統的裏付けに走破時計が追いついてきた今なら、まだまだ上を目指せるはずだ。ただし、ここを勝っても明日からクラス再編成。引き続きA2クラスというのがもどかしい。来年もレース選択には苦労しそうだが、今日は南関東の大トリを飾ったことを素直に祝おう。
それでは皆さま、良いお年を。
***** 2024/12/31 *****