中央フリーウェイの彼方へ

3日間開催の最終日、東京競馬場を訪れて驚いた。何があったのか知らんが5万7千人の大観衆で埋め尽くされているのである。ダービーに次いで今年2番目の人出だそうだ。オークスより混む府中牝馬Sなんて、当方記憶にない。

今日の府中市は最高気温は25.8度の夏日。ビールを飲むにはちょうど良い。たまらず一杯ゴクっと煽った。競馬場で飲むビールはなぜかくも美味いのか。

洋の東西を問わず、競馬場の飲み物の代表格といえばビール。ディック・フランシスの競馬ミステリを読めば、必ずや競馬場内のパブでビールを一杯やるシーンがあるだろうし、ドイツの競馬場に行けば場内の屋台で売られているソーセージと巨大なジョッキに注がれた生ビールがあなたを待っている。

かつて旭川に競馬場があった頃、場内にサッポロ・クラシックの屋台が出ていて、あまりの美味さに5杯くらい立て続けに飲み続けた。ところが数年後に旭川を訪れると、その屋台が見当たらず、いたくガッカリした覚えがある。

目の前を走る馬。彼方に広がる十勝岳連峰。そこに沈む夕陽。そして手にはサッポロ・クラシック―――。旭川競馬場が廃止となってしまった今となっては、もう二度と見ることのできない光景だ。しかし旭川競馬場の跡地の近くにあったプラタナスの並木は今も現在らしい。夏は緑のトンネル。秋は紅葉がひときわ美しい。

東京9Rはプラタナス賞。2歳のダートマイル戦で2017年にはルヴァンスレーヴも勝っている。今年の優勝馬はメルキオル。アッサリ先手を奪うと、ほとんど追うところなく5馬身差だから強い。ルヴァンスレーヴ級の可能性もある。目指すのは来年の東京ダービーか。それともチャーチルダウンズか。展望は明るい。

2024年 プラタナス賞 メルキオル 川田将雅

9レースを終えたところで場外に出た。府中街道を南下し、中央道と南武線の線路をくぐってやってきたのはこちら。

サントリー武蔵野工場ですね。こちらの工場の主力商品「ザ・プレミアム・モルツ」が出来上がるまでのを見学するツアーに参加するのである。ツアーは予約制なのだが、これが大人気。最近の競馬場のスマートシートと同じくらい、なかなか予約が取れない。

ビールを作る巨大な釜の向こうに東京競馬場のスタンドが見えた。これほど近いにもかかわらず、これまでに足を運ばなかったことがちょっと恥ずかしい。工場見学は1時間。そしてそのあとに試飲が待っている。できたてのビールの美味いこと。旭川競馬場で飲むサッポロ・クラシックも美味かったが、工場で飲むプレミアム・モルツはもっと美味い。

松任谷由実さんが「中央フリーウェイ 右に見える競馬場 左はビール工場 ♪」と歌うほどのロケーションでありながら、その両方を一度に訪れる人は少なかろう。しかしやってみると意外に簡単。競馬場西門から歩いてわずか10分。しかも楽しい。ただ、競馬場で飲み過ぎるとツアーの最後に待ち構える「試飲」まで脚が続かないおそれもある。注意しよう。

 

***** 2024/10/14 *****