赤い馬を狙え

東西で3鞍の重賞が行われる日だというのに、東京ではなく、ましてや京都でもなく、なんと那覇にやってきた。むろん競馬ではない。そう、またバスケ。沖縄アリーナで行われた琉球ゴールデンキングス vs 島根スサノオマジックの試合が、ホーム琉球の劇的大逆転勝利で決着したのは20時過ぎだった。

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そこからクルマで那覇まで戻り、クタクタになりながら飛び込んだのは「もぅあしび~」という沖縄料理と泡盛のお店。赤い魚の看板がひときわ目を引く。

Sakana

もずくの天ぷらも、ゴーヤーチャンプルーも、ラフテーも、どれもみな美味しい。行き当たりばったりで入った割には大当たりのお店だった。こうなりゃ明日のエリザベス女王杯も大当たり間違いなし。前祝いとばかりに泡盛を注文する。選んだのは馬のラベルがひときわ目を引く「あかんま(赤馬)」だ。

Akanma

店の主人によれば、沖縄には「赤馬伝説」なる昔ばなしがあるのだという。

昔、大城師番という石垣島の役人が海沿いを歩いていると、不思議な子馬が海から上がってきた。師番は、その子馬を大切に育てたところ、大きく気品に満ちた名馬に成長し、「赤馬」の愛称で広く知られるようになった。

やがてその噂は琉球国王にも届き、赤馬は国王に献上されることとなる。師番は、その名誉を喜んだが、馬と別れなければならない寂しさから「赤馬ヌ、イラスザ、足四チャヌ、ドゥキニャク、……」という歌を詠んだ。それが今も石垣島に伝わる民謡「赤馬節」の一節にもなっている。

一方、首里に送られた赤馬は、評判とは裏腹に、デュランダルサッカーボーイかというほどの暴れ馬となり、怒った国王は大城師番を首里へ呼び出す。

するとどうでしょう、不思議なことに赤馬は師番を乗せた途端、元の評判通りの良馬へと落ち着きを取り戻し、名馬の威光を取り戻したのである。それを見た国王は、師番とともに赤馬を再び石垣島に戻すことにしたという。ふーむ、国王、良いヒトですね。

話自体はマーゲライト・ヘンリーの名作「名馬風の王」に似ていなくもないが、沖縄にも馬文化が根づいているなら悪くない。赤馬にちなんで、明日のエリザベス女王杯はルージュエヴァイユを買ってみよう。アカイイト(赤い糸)、クロコスミア(赤い色の花の名)、アパパネ(赤い小鳥の名)。不思議と赤に縁のある名前を持つ馬が好走する印象が強い。狙うべきは「赤馬」だ。

 

 

***** 2023/11/11 *****