真冬の新星

根岸Sで人気を分け合うエンペラーワケアとサンライズフレイムはどちらも重賞初挑戦。しかもともに4歳馬。ダートのチャンピオン級が日本を留守にしている現状を鑑みれば、ニューヒーローの誕生を期待するファンの気持ちも理解できる。

ところで根岸Sは差し・追い込み馬の強いレースらしい。週中はそんな情報がスポーツ紙やネットに溢れた。私が個人的に追い掛けるアルファマムにとっては心強い。なにせキャリア15戦のうち12戦で上がりメンバー最速をマーク。前走の霜月Sは自身の上がり最速タイの34秒7で差し切っている。上がり勝負になればまず崩れない。

しかしレースは驚くほどのスローペースで進んだ。先行すると思われたアイオライトが出遅れたせいもある。ハナを奪ったヘリオス武豊騎手は「思いのほかペースが遅くて楽に先手を奪えた」と振り返った。テンの3ハロン35秒8は東京1400mの根岸Sとしては異例のスロー。しかも600m~800mも12秒5とペースが上がる気配がない。「差し・追い込み有利」。多くの騎手の脳裏には、そんなフレーズが浮かんでいたのではあるまいか。しかも逃げているのは武豊騎手。動くに動けまい。

終わってみれば5番手追走から早めに先頭に立ったエンペラーワケアーの圧勝だった。2着に粘ったのは2番手からレースを進めたアームズレイン。逃げたヘリオスも8番人気で4着なら立派なもの。先行勢が掲示板を占めた一方、アルファマムはこのレースでもメンバー最速の上りで追い込みながら前も止まらず8着に終わった。展開予想というものは得てして逆の結果をもたらす。

勝ち時計の1分24秒1は、根岸Sが1400m戦になってからもっとも遅い。この程度の時計ならほとんどの出走馬が走れたはず。それでも勝ち馬と2着馬との間は決定的ともいえる2馬身半もの差があった。これをどう評価すべきか。レーティング発表を待ちたい。

今週は東京で騎乗した川田騎手は土日で6勝の固め打ち。しかも2日連続でメインを勝った。いずれも1番人気。いずれもロードカナロア産駒。そしていずれも4歳馬である。貴重な賞金加算に成功した両馬の展望は明るい。彼らの真価発揮はここから始まる。

 

***** 2024/1/28 *****