二度目の函館

戦前の女傑・ヒサトモは、前走から15キロもの斤量減で秋の天皇賞を大差で制した。前走が71キロでの出走、それが56キロになったのだから、大差勝ちも当然だろう。今の競馬ファンには信じらないかもしれない。

負担重量の仕組みは複雑だが、大ざっぱにいえば賞金と負担重量は連動しており、稼げば稼ぐほど重くなる。近年は賞金と負担重量の関係は緩やかになり、極端な重量を背負う馬はいなくなったが、それでも今週の函館スプリントSのように牝馬のナムラクレアが57キロを背負うとなれば、やはり考えてしまう。

函館スプリントSの場合、4歳以上牝馬の基本重量が55キロ。そこに「2024年6月8日以降のGⅡ競走(牝馬限定競走を除く)1着馬は2キロ増」の条件が加わって57キロということになる。牡馬なら59キロに相当する負担重量だ。

だが、札幌スプリントS時代を含め、このレースで過去59キロ(牝馬なら57キロ)以上を背負って勝った馬はいないのである。

1994年 ユウキトップラン8着(60キロ)
1995年 ゴールドマウンテン4着(60キロ)
2010年 ビービーガルダン2着(59キロ)
2013年 ドリームバレンチノ7着(59キロ)
2024年 ウイングレイテスト2着(59キロ)

ナムラクレア自身、56.6キロを背負ったシルクロードSを優勝しているのだから、そこから500グラムくらい増えてもどうってことない   なんていう見立てもあるようだが、56キロからの500グラム加増というのは、53キロからの500グラムとはわけが違う。そのシルクロードSで59キロを背負ったウインマーベルは7着に沈んだ。

一方でナムラクレアは函館スプリントSを3年前に一度勝っている。50キロの軽量を味方に後続を2馬身半も千切る圧勝だった。勝ち時計1分07秒2はレースレコード。函館での出走はそれ以来となるが、実はエリモハリアーにも負けぬ函館巧者の可能性もある。レコードホルダーの意地にかけて無様な競馬はできまい。

ナムラクレア 浜中俊 (2022年フィリーズレビュー出走時)

芝1200mの重賞の中でも、斤量差が大きくなりがちなGⅢ戦で、59キロを背負った牡馬や57キロを背負った牝馬が勝ったレースとなると、サンアディユが勝った2007年の京阪杯以来途絶えている。すなわち今回ナムラクレアが勝てば18年ぶりの出来事。そんなことまで踏まえながら、このレース二度目の制覇がなるかに注目したい。

 

***** 2025/6/10 *****