大根馬券師の決意

仕事で横須賀市を訪れたついでに、三浦市三崎港まで足を延ばしてみた。ご存じマグロの一大水揚げ港。港の周囲にはまぐろを提供する店が軒を並べている。

Maguro

港に隣接する産直センター「うらり」は観光客に人気のショッピングスポットだが、その運営費用に川崎競馬の収益金を活用している。そういう意味では、この施設の運営に私もひと役買っているというわけ。しかし、だからと言って値引きしてくれるわけではない。

マグロだけでなく三浦はダイコンの一大産地でもある。市街地を一歩離れれば、右も左も大根畑。ここ「うらり」でもマグロと並んで、たくさんの大根が売られている。

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ダイコンは一年中出回る野菜だが、夏場のそれは繊維も固く、生食するには辛過ぎてどうもいけない。美味しくなるのは、まさにこれから。寒くなるほど、水分も、キメも、甘味も増してくる。

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ダートの女王・ホクトベガはニンジンよりダイコンを好んだ。エリザベス女王杯フェブラリーS、そして連覇を果たした川崎記念と寒い時季の活躍が印象に残るのは、ダイコンが美味しくなる季節と関係があったのではないか。私は密かにそう推察している。

一方で、競馬場でのダイコンは禁忌という声もなくはない。

「大根役者」の言葉にあるように、古来よりダイコンは当たらないものの代表的存在である。焼き魚にちょこんとダイコンが添えられているのは辛み付けというよりも、食中毒防止の意味合いが強い。刺身のツマの代表格がダイコンなのも同じ理由。「大根の医者いらず」という諺もある。「徒然草」にも薬草として紹介されているほどだから、その当たらなさにはよほどの効力があるに違いない。

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ただ、そうは言っても、真冬の競馬場で寒風に吹かれながらおでんのダイコンを箸先でちょっとずつ切り、燗酒と共に口に運ぶあの幸福感は何ものにも代え難い。正直、馬券なんて当たらなくってイイやという気持ちにさえなってくる。ただこれは、馬券が当たらぬ「大根馬券師」の言い訳。この冬はダイコンを食べつつ、馬券も当ててやろう。

 

 

***** 2023/12/4 *****