先週土曜の話を続ける。
雨の中わざわざ東京競馬場に出かけたのは、決してラーメンを食べるためではない。9レースに目当ての馬が出ていた。神奈川新聞杯は2勝クラスによるダート2100m戦。そこに出走するシゲルカミカゼのレースぶりを観たい。前走は新潟のダート1800mで2着。引き続き好調は維持していると聞いていた。

シゲルカミカゼの祖母スターオブジェンヌの名前を知っている人は、よほどの南関通であろう。2006年の南関牝馬クラシックを皆勤。だが、いずれもチャームアスリープの前に敗れた。それでも桜花賞で見せた4角先頭の積極果敢なレースぶりは忘れ難い。5歳秋のトゥインクルレディー賞を10番人気での勝利。最後の最後で重賞タイトルを手にして自らの引退に華を添えた。

牧場に戻ったスターオブジェンヌはサウスヴィグラスの牝馬ゼクトを産む。JRA2勝の成績を引っ提げて繁殖入りしたゼクトの子がシゲルカミカゼだ。ちなみに南関東でデビュー以来11連勝を記録し、先月の東京盃でも8着したジゼルもゼクトの子。シゲルカミカゼのお姉さんにあたる。
しかし期待したシゲルカミカゼの神奈川新聞杯は、終始中団のまま9着に終わった。まあ、そういうこともある。
レースは直線の坂をのぼり切ってから4頭が横一線の大激戦。そこからアタマだけ抜け出したのは7番人気グロバーテソーロだった。オルフェーヴル産駒の3歳牡馬。初勝利を挙げるまでに7戦、そこから2勝目までにさらに6戦を要した馬なのに、今回は昇級初戦をあっさり勝ち上がってしまった。横一線の展開がオルフェーヴルの勝負強さを覚醒させたのかもしれない。だとしたら、次走でも注意は必要であろう。

だが私が気になったのはお父さんのオルフェーヴルではなくお母さんの方。ツクシヒメの名前を久しぶりに聞いた気がする。彼女も南関東で活躍した牝馬。桜花賞にこそ出られなかったが、東京プリンセス賞3着、関東オークス2着の成績は立派だ。直後の黒潮盃で並み居る牡馬を相手に重賞初勝利を飾った。その2か月後に行われたTCKディスタフで重賞2勝目をマーク。このレースには南関東に移籍したばかりのユキチャンも出走していた。

トゥインクルレディー賞もTCKディスタフも今では実施されていない。しかし南関東を彩った牝馬たちの娘や孫娘たちがJRAで活躍する姿を見るのは、かつて南関東を根城としていた身として誇らしい気にもなる。JBCレディスクラシック創設以前も南関東のダート牝馬路線は一定程度の機能を果たしていたことの現れであろう。
***** 2024/11/6 *****