ダートの季節

今週末の中山開催では、芝のレースは1日4鞍のみで残りはすべてダートとなる。3日間開催でそれが続けばダートばかりの印象を受けるかもしれない。しかもその距離は1200mか1800mがほとんど。この2パターンが3日間ひたすら繰り返される。これでは飽きるのも無理はないか。だが、冬の中山と言えばダート競馬の開催でもある。諦めるしかない。

むしろ4鞍の芝戦をありがたいと思うべきであろう。昔はもっと少なかった。一日12鞍のうち芝はメインだけで、残る11鞍はすべてダートという開催が1か月も2か月も続いた覚えがある。それが嫌なら小倉に行くか、春まで待つしか無い。私は後者を選んだから、今も気持ちの上での「シーズン開幕」は弥生賞である。

土曜の10レースに行われる初凪賞は古馬2勝クラスのダート1800m。ごくありふれた条件ながら、このレース名で行われるのは5年ぶりのこととなる。「初凪」は元日の凪のこと。新年を表す季語のひとつだそうだ。「招福」「門松」「迎春」「初日の出」「新春」「初春」といった具合に新年を現す言葉が特別レースを埋め尽くす正月開催だが、「初凪」という言葉は競馬でしか聞くことがない。準レギュラーの立場に甘んじているのは、そのマイナーゆえだろうか。

それでも10年前の初凪賞は鮮烈だった。中山ダート1800mは逃げ・先行馬が圧倒的に有利。最後方から直線だけの競馬に徹するタイプのサウンドトゥルーは、それまで中山ではまったく結果が出せなかったが、この日は違った。スタートから14番手の後方待機はいつも通り。3~4角で大外から捲り上り、直線半ばで早くも前を捉えると、瞬く間に2馬身突き放してみせたから凄い。中山のダート1800mでは、なかなか見ることがない勝ちっぷり。「凪」と言うには程遠い、荒々しく豪快な競馬だった。

2015年 初凪賞 サウンドトゥルー 大野拓弥

この一戦をきっかけにサウンドトゥルーは一気に本格化。この年の暮れにはホッコータルマエコパノリッキーを破って東京大賞典を勝つと、翌年はチャンピオンズCも制してJRA賞最優秀ダートホースのタイトルを手にしている。

冬場のダート競馬は条件戦に隠れた新星を探してみるのも悪くない。ウィルソンテソーロも一昨年の招福Sを勝っている。数年後のダートチャンピオンが覚醒する瞬間を目撃できれば、新年早々それは幸先の良い出来事であろう。

 

***** 2025/1/10 *****